早稲田MBAでリーダーとしての自分の真価を知る。仲間との切磋琢磨が成長の糧に。

働きながら学ぶ人を紹介する「先輩インタビュー」
今回は早稲田大学ビジネススクールを卒業したした鈴木さんです。

理系の大学院で化学工学を専攻し、その後東芝に入社し、技術営業職として仕事をしながら MBAを取得しました。現在はアメリカ支社で活躍している鈴木さん。入学を決めたきっかけや将来のビジョンについてお話を伺いました。

鈴木 優介さんプロフィール

経歴
2011/4:東芝新卒入社
2011/4-2019/10: 原子力事業部の技術エンジニアとして海外事業を中心に拡販活動を担当。また、2015年の不適切会計以降、社内の風土改革チームを発足し、風土活性化を推進。
2019/11-2020/9: 新技術事業の重粒子線がん治療装置の技術営業を担当
2020/10-現在: 東芝アメリカ支社に営業として駐在、重粒子線治療装置及び原子力発電所の拡販を担う。

出身大学院
大学院:早稲田大学 大学院経営管理研究科(WASEDA Business School)
入学年月日(年齢):2019年4月(32歳)
修了年月日(年齢):2021年3月(34歳)

会社に逆風が吹く中、会社と自分のために何かしたいと思った

———— 茨城のご出身なんですね。実は私もなんです。

自然に恵まれた良いところですよ。自然に囲まれていたので家族がアウトドア好きだったこと、化学系の仕事をしている父の影響で、大学では地球温暖化に影響を及ぼす要因の研究をしていました。大学院で化学工学を選んだのも、有害物質を吸着させて除去する技術の第一人者がその大学院にいたからです。東芝を選んだのも大学と同じで、環境への問題意識から原子力事業に携わりたいと思ったからです。東芝は米国の原子力企業を買収していたのでグローバルに強いだろう、海外経験ができれば自分のキャリアにもプラスになるだろうと、そう期待していたのですが....




———— 2015年に東芝の不適切会計事件が起きてしまった。

そうなんです。2011年の東日本大震災で原子力事業には逆風が吹くわ、会社には不祥事が起こるわで、社内のモチベーションが下がり、離職する仲間も増えていきました。でも、僕は東芝がすごく好きだったので何とかしたくて。そこで、会社の風土を変えるために“東芝を変える会”というのを立ち上げ、当初は200名くらいの社員が集まりました。会社に対する不満も多かったので、まずは”対話”を通して不満や要望を共有することが大事だと考え、経営層も含めた対話会を設けたり、若手のモチベーションアップや要望をかなえるための新規アイデアを具現化するための小集団活動という、業務時間の5%を自由に使える制度を作ったりしながら、風土の変質に取組んでいきました。

例えば、僕が立ち上げた小集団活動では、ウォーターフォール型が主流のハードウェアの世界にアジャイル型を取り入れました。半年の期間で7名の若手を集めて活動し、実際のプロジェクトにも導入しながら部分的にアジャイルの考えを取り入れることに成功し、実際の設計活動を迅速化でき成果が出ました。その結果、ユーザーニーズにスピーディーに対応したと会社から表彰を受けることができました。会社の風土改革という観点で、大事にしたのは社員のモチベーションです。そのために、まず僕自身が小さな成功体験(小集団活動で成果を出し表彰を受ける)を作り共有することで、“東芝を変える会”のほかのメンバーのモチベーションにも良い効果が生まれたと思います。




———— 会社の雰囲気も良くなっていったのでは?

離職率は一時期下がりました。しかし、一定期間を経てまた離職率が増加し始めました。次の課題は、モチベーションは改善したけど、東芝の事業の3つの柱のうち、原子力事業とメディカル事業(2016年に他社に売却)の2つの事業が崩れたため、会社の将来に不安を感じる社員が増えたんですね。

対話会でも本気で若手の不安や会社の将来について考えているマネジメント層は少なく、いわゆる逃げ切りの姿勢が見えてきました。これはダメだ、思いを持っている人が自分で変えなくてはだめだと思うようになりました。



———— これが大学院に進学するきっかけに?

社内に早稲田の大学院に行っている人がいて、その人たちとの交流も刺激になりました。ちょうどそのとき、新規事業チームに声をかけられていて、アイデアはいくらでも出せるのに経営戦略やファイナンス面について、技術畑だった僕は知識がなく発言できないと悩んでいたんですが、彼らは経営目線でどんどん意見が出せるのを見てとても新鮮で。そこから、早稲田MBAを考えるようになりました。

行くならきちんと目的を持って行きたいし、仕事に活かすために行くんだという納得のいくロジックがないと嫌だった。なので、仕事と学業を両立しつつ、仕事の疑問を大学に持ち込んで解消し、学びはどんどん仕事で試すという両輪を回せる夜間の大学院を選びました。

人とのつながりで得られる「成長・感動・絆」がモチベーション

———— 研究というより、実務に活かせる経験を求めて進学したんですね。

そうですね。MBAが欲しいとか、研究したいとかいうのではなかったです。2015年にPMP (プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)を取った経験も決断を後押ししました。

 プロジェクトマネジメントに関する国際資格で、プロジェクトの適切な進行管理に関する国際的なルールを学びます。2015年の不適切会計後、社内のリスクマネジメントが不十分ということで、PMPの資格を持っている僕がこのプログラムを作るリーダーにアサインされました。この時に多くの経営層や有識者と議論をする場がありましたが、PMPという悩んだり方針を決める際に立ち戻るバイブルを手に入れていたため、社内では誰よりもリスクマネジメントに精通しているという大きな自負を持って、どんな有識者にも対等に議論することができました。この経験が大きな自信につながり、立ち戻るバイブル(軸)が非常に大事だと経験しました。今回もMBAでそういうブレない軸を手にいれたいと思い、進学を決めました。




———— 会社のためにそこまでするなんて。これはもう愛?

愛と言えば愛ですね。感謝とも言えます。入社した当初から鍛えてもらって仕事を一所懸命やってきたし、尊敬できる人もたくさんいて、この会社でまだまだ学べると思いましたから。

僕だって会社に不安を感じないわけじゃないですけど、東芝で起きている会社の将来性の問題、風土の醸成、組織の縦割りや人材マネジメントの課題など、多くの問題はありますが、それは他の会社に行っても同じ問題にはぶつかると思っています。むしろこの課題を乗り越えるためには、自身の信頼やポジションがないと人を動かせない、だったら今居るこの会社で既にある基盤や信頼関係をフルに生かして、乗り越えていく行動が大事だと、それはチャンスでもあると考えました。また、その上でもし失敗してトラウマを感じても、そのトラウマは同じ環境でリチャレンジして上書きできないと、乗り越えられませんよね?他の場に逃げてはきっと成長できないと思っています。MBAという観点でも、MBAを通して得られた知見を、他の会社でゼロからスタートしたのではすぐに生かせないだろうと思ったので、やはり会社に残ってチャレンジしようと決めたんです。




———— それだけでこんなに頑張れるものですか?

中高と柔道で団体戦をやっていたのも影響しているかもしれません。5人のチーム戦で、1つひとつの試合は個人戦ですが、先鋒が負けたら次鋒がその分取り返す、副将が負けたら大将にすべてを託すといったチーム感が強く気持ちを一つにして、ほかの人のぶんまで背負う気持ちでやらないと負けてしまいます。

 


———— 進学の理由として「仲間を通じて視野を広げるため」ともおっしゃってますもんね。

実は、これにはエピソードがあるんです。高校のとき倫理の先生に「幸せってなんですか」って聞いたら、「自分を知ることです」と答えました。私は「自分を知るにはどうしたらいいですか?」と聞くと、「鏡をみること」と答えが返ってきました。更に「鏡を見ても姿形しか分からないじゃないですか?」と聞くと、先生は「その鏡が”他人”なんです。あなたはこれから多くの人と関わりなさい、そして他の人とここは同じ価値観ここは違う考えといったように、他人を通して自分が分かってくる。その結果、自分が望むもの、人生で目指すものが分かってくる。そうすると自然と幸せが何かわかるはずです。」と話してくれました。それがきっかけになり、部活やサークル、研究室、バイト先など、多くの仲間と積極的につながることを選択し、その中で「成長・感動・絆」が自分にとってとても大切な軸だと理解することができました。さらに大学院に行けばこういう経験ができると思い、進学を決めました。




———— 鈴木さんが熱い人だって言われる理由がわかりました。

自分のロールモデルであるスティーブ・ジョブズの好きな言葉に、「成功する人はチャレンジし続ける人」というのがあります。失敗はする。でも、それを成功の過程と捉える。これが行動の原動力になっています。


大変なときこそ自分の真価を問われる勝負のとき

———— 受験準備はどんなことを?

正直、特に何もやってないですね。図書館で小論文の書き方を読んだくらい。予備校や塾にも行っていません。




———— 普段からどれだけ考えているかで差がつきそうですね。大学院に入学してみてどうでしたか?

1年目の夏、7〜8月がとにかく忙しかった!めちゃくちゃ授業を取っていて毎日課題に追われ、仕事もピークを迎え、所属していたPMP関連の外部団体の学会発表もあり、引っ越しも重なり....

1ヶ月3時間睡眠の日々を過ごしました。それでも、この時が一番充実していましたね。ここから得たのは、本当に忙しく追い詰められて、時間がないからこそ優先順位づけや決断が非常に求められるし、時間がないからこそ余計な思考やタスクは排除して、神経研ぎ澄まされて自分のスキルや真価を問われる時期だったと思います。今後どんなに忙しくても、これ以上は無いんじゃないかと思う自信にもなりました。




———— 大変だけど、貴重な経験ですね。

大学院の良さって、決められた枠の中でがむしゃらにやる、その瞬間だと思うんです。何かを本気でがむしゃらにやるって、なかなかない経験でしょう?

今まで対峙したことがないような種類・量のタスクに追われ続ける環境に、自分で投資して集まっている人の集団に所属し、日々仲間と切磋琢磨する。がむしゃらだからこそ自分らしさが出るわけで、自分の強みにも弱みにも嫌でも直面します。まさに高校の倫理の先生が言っていた、自分を知る良い機会になりました。




———— 新しい自分を発見しましたか?

そうですね。調整力は何となく自分の強みだなと思っていたんですけど、積極性も自分に強みなんだと気づきました。優秀な学生が何百人もいる中で、質問で手を挙げるだけでも勇気がいること。でも、意外と自分はどんどん質問できました。

熱量が自分の勝負所だということもわかりました。ただし、センスやユーモアは他の人に任せます(笑)。センスやユーモアは自分より持ってる人がたくさんいると分かったので。自分の弱い部分を受け入れられるようになったのも、大学院での大きな成果でした。

迷いがあったリーダーシップのあり方についても、解は1つではなくて、環境によって変わっていくべきもの、人によっても異なるものだと。自分の場合はサーバント型で、後ろから人を動かしていくタイプだなとわかってきました。




———— サーバント型というのは何だか意外ですね。

違う世界の人の出会いが自分・人生・周囲を変える原動力になる

———— 卒業後、どんなキャリアイメージを描いていますか?

大学院に行ってみて、グローバルに活躍している人が多いなと思ったので、自分も真のグローバルを目指そうと思い、東芝の米国支社へ希望を出しました。その結果、2020年からToshiba America Energy Systemsで、放射線がん治療装置及び発電所の拡販活動を担当しています。 M1の秋からですね。




———— すでに在学中から目標をクリアしたわけですね。ほかにはありますか?

大学院での経験を生かして会社の経営を良くしていきたいと思っています。東芝は技術力を評価されて昇進するパターンが多く、言い方を変えると、経営が弱い人が上に行くことが多い。ならば、僕のようにMBAを持っていて経営も強い人材は稀有な存在になれるはず。

アメリカでは今、大学院での学びを活かせるポジションで仕事ができているので、アメリカにいる間にいろいろな試行錯誤をして、日本に戻ったらマーケットインの方向に会社の姿勢を動かしていきたいと思っています。




———— 今後のキャリア展開が楽しみですね。いつもブレずに信念に向かって動いている印象を受けます、何かキャリアの軸になるものを持っていますか?

「感動をつくる」こと。これ、僕の人生のテーマなんです。大学院が一番忙しかった時期に、「自分が人生でやりたいことってなんだ?」とふと考えて、ある歌の動画を見たんです。名もない高校生が感動を引き起こす様子を見て、感動っていいなぁと。色々と追い込まれていた僕の気持ちが一瞬で持ち上げられて、急に前向きな気持ちに変えられました。感動って人を動かす力があるなと感じ、このとき、自分の人生のテーマを「感動をつくる」にしよう!と決めました。

 

———— ズバリ、大学院に進学して良かったですか?

良かったです。違う業界、違う職種の人がたくさんいるので視野が広がります!分析=比較だと考えているので、比較できる対象が増えるので分析力が高まります。問題に直面したときに瞬間的に構造化するフレームのストックも作れました。




———— では最後に、どんな人に進学を勧めますか?

変化を求めている人。自分・人生・周囲に何か変化を求めている人。何となく感じている課題が何なのか、輪郭を明らかにしていく方法がたくさん大学院にはあります。なので、明確な目的がなくても、何か変えたいと思っている人、それが何なのか知りたい人は行くことをお勧めします。




———— とても熱いお人柄に触れて、こちらもがんばろう!という気持ちになりました。ありがとうございました!

早稲田MBAで学んだ先輩たち
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