製薬業界もMBAのプレゼンスも楽しみながら変える!中央大学ビジネススクール

働きながら学ぶ人を紹介する「先輩インタビュー」
今回は、中央大学ビジネススクールを修了された平良 典靖さんです。

製薬会社でキャリアを重ねる中でわかった、医療イノベーション普及に立ちはだかる壁。お子さん誕生を機に2年間の育休を取り、CBS(中央大学ビジネススクール)での学びを通じて業界の課題解決策を見出しました。

製薬会社での仕事だけではなく、MBAのプレゼンスを高める団体の立ち上げ、社会課題解決へのチャレンジなどすべて「楽しんで結果を出す」平良さん。すがすがしい意思決定と、そのベースにある突き抜けたポジティブさ。大学院進学を経て一段も二段もギアが上がった平良さんの言葉に、たくさんのヒントが隠されています。

平良 典靖さん

北海道大学生命科学院(薬学)を修了し、外資系製薬会社に就職。MRを約5年間経験した後に転職し、医療系広告代理店で企画部メディカルプランナーとして2年間勤めた後、再度転職し、現在は外資系製薬会社のMSLとして勤務している。中央大学MBAコースに通っている時に、MBA仲間と立ち上げたWebコミュニティー「MBA交流クラブ」は国内最大のMBA専用コミュニティーに成長している。

MBA交流クラブ
・東洋経済オンライン:  男性育休「丸2年取った人」が得た新しい人生観

卒業・修了した大学・大学院中央大学大学院ビジネススクール
入学年月(年齢):2020年4月入学(33歳)
修了年月(年齢):2022年3月修了(35歳)

いい薬を普及させるために重ねたキャリアと問題意識

—————まず、中央大学ビジネススクールに進学された経緯についてお話しいただけますか?

僕は薬学部を卒業して薬剤師免許を取得し、そのまま大学院で2年間研究生活を送り、製薬会社に入りました。ずっと薬、薬、薬のキャリアです。製薬会社では、MRを4年半経験しました。その後キャリアチェンジをしようと考えて医療系の広告代理店の企画部に移り、29歳から2年間まったく異業種の異職種を経験しました。

この経験を活かしてまた製薬会社に戻り、今度はMSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)という専門職に就きました。簡単に言えば、製品について学術的な知識を極めて医師に情報提供する仕事です。ところがMSLを続けるうちに、どんなに学術的にすぐれたデータのあるいい薬でも、それだけではなかなか広がらない、と痛感するようになりました。そこで学び直す機会が欲しい、マーケティングの知識を得ていい薬をもっと届けられるようになりたい、と考えたんです。

ちょうどそのタイミングで子供が生まれて。4月に生まれる予定だったので、育休をがっちり2年間取って、その間に大学院で学び直そう、その間に色々なチャレンジをしようと考えて進学した、という経緯です。

 

—————訥々と話していらっしゃいますが、すごいですね!まず広告代理店への転職ですが、きっかけは何だったんですか?

もともとMRを一生の仕事にしようと思っていたわけではなく、営業力を身につけることをキャリアの第一歩と考えていただけでしたから。もっと早く別のことをやりたかったんですが、異動希望が会社の事情でなかなか通りませんでした。そんな時に転職エージェントから、医療系広告代理店という選択肢があると知らされてチャレンジしました。

広告代理店と言っても医療系の場合は、媒体に出す広告の仕事じゃないんですよね。クライアントである製薬会社のMRの方たちが説明会に持っていく資料作りやプレゼンのサポート、配布戦略などを考えることが仕事で。徹夜したり土日もずっと会社にいたり、かなりハードでした。

 

—————その後製薬会社に戻られてMSLになられたのは、どんな経緯だったんでしょう?

薬をちゃんと普及させるためには学術的知識が必須だ、と考えたことですね。実は、新薬が普及しない大きな要因の一つとして、臨床の医師の方へ情報が伝えきれていないことが挙げられます。現場の臨床医の方たちはとても忙しく、最先端の治療を知るために論文を読んだり海外の学会へ行ったりする時間はありません。

MSLは、いわゆるコマーシャルではなく、学術的な切り口で自社の製品をアピールする仕事です。医師とピアtoピアでディスカッションを重ねて、新しい研究提案などを行ったり、適切な治療について一緒に考えていったりすることも仕事に含まれます。つまり、実際の医療と新薬を活用した新しい治療とのギャップを埋める役割も果たせるんです。製薬業界自体がその必要性に気づいてMSLを増やしていく動きがありましたから、僕も経験したいと考えました。

 

—————なるほど…ところがMSLになって学術的な知識を極めても、薬を広める時にはさらに課題があると気づいた? 

そうです。MRもMSLも、基本的に仕事は薬を直接的に売ることではなく「薬の情報を伝える」ということです。でも、もうここまでオンライン化が進むと、今までのように僕らから医師へ、つまり人から人へ口で情報を伝えるという時代じゃない。そうしたら、MRやMSLにどんな存在価値があるんだろう?5年後にはこの仕事はなくなっているんじゃないか?と危機感を持ちますよね。製薬会社勤務の人でMBAを取得する人が多いのも、そんな理由だろうと推測します。

そもそも日本の製薬業界は今、かなり縮小しています。医療費はどんどん増大しているのに、毎年のように薬価が改定されて製薬会社に入るお金が減って、製薬業界の市場はどんどん縮小している。その一方でかなり特殊な業界ですから、そこで働いている人たちは他の業界に移りにくいんです。

 

—————飛び道具と言うか、汎用性のある知識を身につけた上でキャリアアップや転職を考えたい、というニーズがあるんですね。

僕もずっと理系どっぷりで製薬の専門職を続けてきたので、やはり新しいことを学ぶ機会が欲しい、と思っていました。

 

育児と勉強、その他のチャレンジで充実した2年間

—————そのタイミングでお子さんの誕生があり、2年の育休を取って大学院へ…って?!これもかなり大きな意思決定ですよね。

そうですか?僕は逆になぜ育休を取らないんだろう?と思います(笑)。育休の間に仕事を離れて色々なチャレンジができるし、学びたいことを学べるし。キャリアについてもマイナスには感じないです。たぶんみんなが取っていないから取っていない、っていうだけなんじゃないか、と。

 

—————ご家族や会社の反応はどうだったんでしょう?

妻も応援してくれました。もちろん育休ですから育児が中心ですけど、授業や課題があって時間が取られても理解してくれて、本当にありがたかったですね。会社もネガティブな反応はなかったです。

—————製薬業界では、MRの方が社費でMBAを取得するケースも多いと聞いたんですが、平良さんは?

僕は自費です。職業訓練給付金はもらいました。かなり助かりましたね。

—————進学された中央大学ビジネススクール(CBS)を選んだ理由は何だったんでしょう?この他に検討した進学先はありましたか?

いや、僕は中央しか考えませんでした。会社の先輩が中央で学んですごくパワーアップしたとおっしゃっていたので、他は考えず説明会にも行きませんでした。もちろん先輩を信頼していたからという理由もありますが、結局のところ入ってみないとわからないじゃないですか。ずっと理系理系でやってきたので、文系の大学がどういうものなのか見当もつかないし、飛び込んでみるしかない、と思ったんですよね。もともとあまり悩まないタイプなんです(笑)。

ところが入学したら思いもよらずコロナ禍が訪れて、入学式も1ヶ月遅れ、対面授業のはずがすべてオンラインになりました。でも、僕は逆にその環境だからこそ何か面白いことができるんじゃないかと思っていました。

一番パフォーマンスが上がるのは仕事を楽しんでいる時

—————大学院進学で得たものは、何だったんでしょうか?

何と言っても、人とのつながりが一番大きいです。お金では絶対に買えない人とのつながりを得られました。MBAにはいわゆるビジネスリーダーが集まっていて、そういう人たちって往々にしていい人ですよね。もちろん僕はビジネスが大好きなので、会社の人たちと一緒に働くのはとても楽しいんです。でも、会社にはルールがあるし評価が気になることもありますから。MBAの人たちとのつながりは、しがらみも忖度もないのでとにかく楽しいです。もう一つは、月並みですが無知を知った。自分がこんなにも何も知らなかったんだということを2年間で知ることができた。ここからだな、ここから頑張ろう!と思っています。

 

—————頑張る、というのはここからのし上がって行きたい、ということなんでしょうか?

いえ、上がるというイメージじゃなくビジネスをもっと楽しみたい、という感じです。やりたいことがいっぱいあるんです。まず、大学院で得られた人脈に特化して何かやりたい、と考えて試行錯誤しながら「MBA交流クラブ」を立ち上げました。MBAで学んだことを実践できる場として、現在20大学院2800人ぐらいの方が参加してくださっています。一般社団法人化して、さらに何かと掛け合わせながら株式会社も作っていこうと思っているんです。

 

—————2年間インプットしたものを使いながら実際に実践してみる、失敗しても成功してもいい場ということですか?

そうです、とにかくビジネスを楽しみたいんですよね。自分の仕事を振り返っても、やっぱり楽しんでいる時が一番パフォーマンスが高いし、やりがいも幸福度も高い。だから働くことを最大限楽しもうと思っているんです。

 

—————食べるための「ライスワーク」と好きでやっている「ライクワーク」、お金にはならないけど自分がやりたい「ライフワーク」の3つがある、と考えた時に、このMBA交流クラブってどの位置にあるんでしょう?自分が面白いと思った人たちと楽しいと思うほうへどんどん軸足を移していくって、ライフとライスを重ねることなんでしょうか?それとも、ライスワークはまったく別でいいと考えていらっしゃるのか…?

いや、もしかしたらめちゃくちゃ贅沢なことを言っているのかもしれないですけど、僕は普通に働いていれば食うに困ることはない、と思っていて。だから後は「何をやって楽しもうかな」と考えることが重要かなって思っています。

 

—————平良さんは、もともとそういう考え方だったんですか?

いや、最初はダメダメ社会人でした。それこそライスワークで、仕事は面白くないけどお金もらっているからやらなきゃ、という感じでしたよ。でも、いい上司との出会いで変わったんです。その上司は、やりたいことをやりたいようにやらせてくれた。やりたいことやらせてくれたら楽しいですし、やりたいことやらせてくれるのに結果を出さないなんてあり得ないじゃないですか。だから、やりたいようにやって圧倒的な結果を出す、そうしたらやっぱり仕事って面白いと思った。これが成功体験になっています。

 

—————楽しんでいる時が一番パフォーマンスが良かった、というのはこのことなんですね!ご自身のモットーとして「仕事はエンターテイメントだ」と書いていらっしゃるし。そこまで行ったら強いですよね。

とにかく楽しむ。つまらないと感じること、やりたくないことはやらない。そう決めているので、強いかもしれないですね。

 

研究成果を医療イノベーションの普及に活かしたい

—————修論では、優秀論文賞を取られたんですよね。どんな研究なんでしょうか?

いかにして新薬など医療のイノベーションを普及させていくか、がテーマです。論文を書くことで僕の問題意識を整理できました。賞を取れたのは運がよかったというところですけど、実は国内では医療におけるイノベーション普及というテーマがほとんど研究されていなかったんです。海外では研究されている分野なので、海外で行われている解析を日本でもやること自体に新規性がありました。

最近は大学病院の医局でもトップダウンで新薬の採用が決まるというケースが減っていて、SNSなど医師の横のつながりによる情報共有の影響が強くなっています。製薬会社の営業がその現状に追いついていないことも、医療のイノベーション普及が遅れる一つの要因なんです。飽くまで一例ですが、僕の研究でも、クリニックのほうが大学病院より新薬の運用が早いという解析結果が出ています。クリニックの医師の皆さんは、横のつながりで積極的に情報共有していますから。

 

—————実務に直結する研究結果ですね。

そうですね。医療におけるイノベーションの普及の概念について、社内はもちろん、製薬業界全体に広めていかなきゃいけないな、と思っています。

 

 

MBAの力を集めて意義あるビジネスを生み出したい

—————「MBA交流クラブ」のお話に戻りますが、立ち上げた目的を伺えますか? 

日本ではMBAって全然プレゼンスを発揮できていないな、という課題を感じていて。MBAが集まるとこんなに面白いことができる、社会的に意義あることができる、と示せる場を作りたいと考えたんです。

今年はモンゴル市場でのビジネスプランコンテストをやりました。自分たちのビジネススキルを活かして、モンゴルという新興国の経済を盛り上げるきっかけを作ろう、と。ただアイディアを出して終わりではなくて、優勝メンバーと特別賞のメンバーと一緒にモンゴルへ実際に行って、アイディアに関連する企業を回って実現可能性についてディスカッションしました。現地のメーカーの社長と話をつけて、実践に向けて動いているチームもあります。小さな一歩かもしれませんが、ビジネスが生まれて貢献できたら、MBA冥利に尽きるんじゃないかと思っています。

きっかけもCBSなんです。このコンテストの審査員のトップに名前があるモンゴル貿易開発銀行の内田さんが先輩で、一緒にモンゴルビジネスを盛り上げていきましょう、ということで始まりました。日本・モンゴル外交関係樹立50周年ということで協賛企業もついて、審査員に経産省の方も入っていただきました。最近は福島の復興についてみんなで学ぶために、福島ツアーを予定しています。MBA生なら、福島という日本の課題をみんなで知ってみんなで考えなきゃいけないし、何とかしたい。マンパワーや僕のアイディア不足という課題もあるんですが、MBAと何を掛け合わせたら面白いかな、と常に考えています。

 

—————MBAのプレゼンスについては、私も同じ課題を感じてます。ここが変わらなければ企業側もMBA人材が欲しい、と思わないですよね。私もMBA交流会クラブに入れますか?

もちろん!一緒に色々なプロジェクトをやりたいですね!




すべての人に大学院進学で「自由」を手に入れてほしい

—————平良さんにとって大学院で学ぶということは、何だったんでしょう?

自由を手に入れた、ということでしょうね。知識も人脈も、大学院前の自分では考えられないぐらい広がって、MBAだからこそ得られた選択肢がたくさんあります。もっと多くの人に、このことを知ってほしいです。そのためにも「自分はMBAで学びました」というだけで終わらず、世の中にアウトプットしていきたいです。

 

—————どんな人に進学を勧めますか?

基本的には、すべての人に勧めたいです。知識は本を読んで勉強すればいい、人脈も自分で広げようと思えば広げられるかもしれないですけど、そこまでアクティブに動ける人は一握りしかいない。こんな知識があるんだ、こんな人たちがいるんだ、と気づくきっかけとして、僕はほぼすべての人に勧めたいと思っています。

 

—————もっと多くの人に、社会人大学院で学ぶ良さを知ってほしいですよね。ありがとうございました!

 

 

 

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