屈辱のビジネスレビューから早稲田MBAへ。昇進・博士進学とキャリアが開くきっかけに。

働きながら学ぶ人を紹介する「先輩インタビュー」

今回は、悔しさをバネに自分のキャリアを切り開き、現在ではグローバルに活躍される金原さんに話を伺いました。早稲田大学大学院経営管理研究科夜間ビジネス総合、通称WBS(早稲田ビジネススクール)を1年前に卒業され、この4月から筑波大で博士課程後期に進まれる予定です。

金原 弘樹さん

大学卒業後、前職で3年間営業担当を務めた後、L-COVIDIENに入社。

営業担当者として3年の経験を経て、マーケティング部門に異動。外科イノベーションのマーケティング部門では、製品スペシャリスト、シニア製品スペシャリスト、マーケティングマネージャーを務め、21年度後半には、シニアマネージャーとしてリモートソリューションチームを設立。

2021年3月に早稲田大学大学院でMBAを取得し、2022年春に博士号取得を目指して大学院を再開予定。

修了大学:早稲田大学 大学院経営管理研究科 MBA
入学年月日(年齢):2019年4月(33歳)
終了年月日(年齢):2021年3月(35歳)

金原さんのツイッターはこちらから

「君はビジネスのことを全くわかっていない」


———— いつもnote読ませていただいています!マネジメントや英語学習について、高頻度でストイックに更新されていて、自分も頑張らなくてはと焦ります。

いえいえ、そんな。実は、会社の後輩たちにMBAや英語について聞かれることが増えてきて、一対一で答えるのが大変になってきたので、書き留めることをはじめました。これ読んでおいて!って言えるので重宝してます。




————会社でも金原さんのMBAエピソードは有名なんですね。

僕がMBA入学が決まった時に相談したことで、当時の事業部長が補助制度を作ってくれました。




————すごい、会社を動かしちゃったんですか。金原さんがMBAに行かれたきっかけはなんだったんですか?

ビジネスの現場で「すっごく悔しい経験」をしたんです。僕の会社は、グローバルに展開する医療メーカーで、当時僕はその中で日本のマーケティングでプロダクトマネージャーを担当していました。ある日、グローバルのエグゼクティブを招いて、日本の各領域の責任者が戦略報告をする機会がありました。そこで僕の戦略がボッコボコにされて、途中でプレゼンを止められるっていう経験をしたんですね。

「君はビジネスのこと、マーケティングのこと全然わかってない」と大勢の前で叱責されるという、悔しい経験をしました。そこから他のグローバルメンバーのプレゼンを分析していく中で、戦略作り・見せ方のお作法や体系化の重要性を強く感じるようになっていきました。




————悔しい経験をした後に、他の人のやり方を分析するという所に、金原さんのストイックさが現れてますよね。でも、「理解されなかったのはグローバルと日本の違いだ、自分のせいではない」と決めつけて、諦めることもできると思うんです。

そこは、前職のリクルートの影響を色濃く受けていると思いますね。最初の上司がすごく尊敬できる人で、「他責にするな・環境のせいにするな」と口酸っぱく言われました。なにがあっても「じゃあ自分はどうする?」と考える癖は、社会人としてのDNAになってますね。





————元リクの魂百まで、ですね笑。ビジネスレビューの経験後、MBAという選択肢は、すぐに浮かんだのですか?

それがそうでもなくて。もともと営業からキャリアをスタートさせたので、MBAなんて遠い世界の話だと思っていました。ただ、マーケティングに異動になってからは、目の前の顧客のことだけではなく自社のビジネスモデルを俯瞰して理解したり、業界全体の構造を理解しないと、良いマーケティング戦略を描けないなと薄々感じていたのは事実です。悔しい経験をしたあと、経営戦略やマーケティングの書籍を読んだり情報収集をする過程で、たまたま早稲田のMBAのことを知り、「あ、これかもしれない!」と頭に浮かんだ感じです。



MBAで学んだのは「本当の仕事の楽しさ」


————大学は、早稲田にすぐに決めたのでしょうか?

早稲田以外にも、明治、名古屋商科大、グロービスなどを見ていました。実践と理論のバランス、ラーニングコミュニティの大きさで、さいご早稲田に決めました。グロービスもいいなと思ったんですが、かなり実践寄りなので、それだったら仕事から学ぶ今の状況とあまり変わらないなと思い、理論寄りの大学がいいなと考えていました。





————ラーニングコミュニティの大きさというのは、在学生の数や卒業生の数という意味でしょうか?

数もありますし、あとは業界・年齢層など多種多様な価値観・バックグラウンドという意味での「幅」もありますね。正直、MBAってどこに行っても習う理論や概念は同じだと思うんです。MBAの参考図書とか読んでいてもわかる通り。なので、できるだけコミュニティの大きい場所に行って、いろんな人と学ぶことに価値をおいていました。




————似通った人が多いと、会社や仲間内の勉強会と変わらないですもんね。早稲田は学部の留学生数が日本一だったりもするし、大学院もそれに通ずるものがありそうですね。そんな百人百様な環境の中で、何が一番印象に残っていますか?

やっぱり「朝まで本気で議論したこと」ですかね。大人になってこれだけバックグラウンドの異なる人たちと意見をぶつけ合う機会って、そうそう無い。みんな大人なので遠慮しちゃうんですよね...。でも大学院は、お互い利害関係の無い人たちの集まりなので、本気で考えて本気で議論する。その中での気付きは、仕事中の気付きとは全然質が違うと思います。常に頭をフル回転させて生き生きしていたし、大人の青春って感じでしたね。

色々学んだことで、事がうまく進むようになったと思いますが、それよりも「仕事の本当の楽しさ」を理解できるようになりましたね。





————大人の青春、いいですねー。私も大学院から生まれた人との繋がりは、人生のサードプレイスだなって感じています。仕事の楽しさというのは?

MBAで理論を学び、それを使って議論を重ねることで、自分の頭の中に思考の軸ができるんです。そうすると、仕事の流れや仕組みを俯瞰して見れるようになり、自分が対峙している物事の本質を深く理解できる。本質を理解すると、言葉尻に左右されなくなり、会社の戦略や経営者の発言を好意的に受け取ることができ、仕事が楽しく感じる場面が増えました。





————会社判断の真意をちゃんと理解すると、仕事のやらされ感がなくなりますもんね。自己決定感が芽生えて内的動機が高まるというか。

おっしゃる通りです。自分の仕事が何に繋がっているのかわかるので、前向きに捉えられるんです。うちの会社は、定期的にCEOが会社の方向性などをメールで全社員に送るんですが、例えばそこにダイバーシティ&インクルージョンの推進が記載されていた時に、闇雲にそれを部下に推進しろ!と伝えるのと、自分がその真意を理解した上で部下に指示するのでは、部下のモチベーションは全く違うはずです。

「単に多様性を増やすことがいいのではなく、答えのない環境の中でより良い選択をしていくためには多様な価値観が必要、だからダイバーシティなんだよ」と背景をセットで伝えられるようになるためには、ダイバーシティ&インクルージョンを理解するだけではなくて、関連するイノベーションや戦略についての造詣を深めておく必要がある。この訓練としてMBAは有効だなと感じます。



MBA不要論は本当か


————仕事が「できるようになる」MBAじゃなくて、仕事が「楽しくなる」MBAって、より門戸が開かれる印象があって、昨今学び直しが叫ばれる日本としては、良い兆しな気がします。

MBA不要論も囁かれていますが、僕個人としては、理論を後ろ盾に思考を組み立て課題解決する術を学ぶ場としては、むしろ社会人に必須だと思います。





————グローバルで見ると、米国管理職の4割はMBA取得者で、日本は5,6%が現状。国内企業であっても、市場拡大や現地生産などを視野にいれると、どうしてもMBAホルダーとの交渉が不可避な状況も発生してきますし、同じ思考・発想の軸を持っていて損はなさそうですよね。

手前味噌ですが、最近大きなミッションを任せてもらえるようになりまして、60名のメンバーがいる営業部長になりました。屈辱のビジネスレビューから半年後に大学院を受験して、2年間学び、卒業後一年で責任者に..という感じですね。かなり目まぐるしい数年間でした。




人の本質は何世紀も変わっていない、だからマネジメントを学びたい


————すごいなー。COVID-19が流行り出してから2年間で大きく世の中が変化したなーって思いますが、そのスピード感を凌駕する勢いですね。しかも、大学院博士後期課程にも進まれるんですよね?

はい、2022年4月から筑波大学ビジネス科学研究群博士後期課程で、リーダーシップ資質論を研究します。

修士卒業後しばらくは燃え尽き症候群で、何もしていなかったのですが、そろそろ暇するのにも飽きてきたなって頃に、もともと好きだった世界史関連の本をいくつか読んでみたんです。そこで思ったのが、人間の本質って全然変わってないなって。領土や権力を広げすぎてコントロールが効かなくなり、争いが起きて、衰退していく。どの時代も人間が繰り返すことの本質は変わっていなくって、人という領域において、歴史から学ぶことは多いなと感じました。

大学での研究は、先人たちの知恵の上に自分の研究を積み重ねていく作業なので、歴史から学ぶことが多い。マネジメントやリーダーシップといった人に関する領域と研究はとても相性が良いと思い、領域をピボットしました。



————なるほど。マーケティングという実務が先をいく領域から、人や組織という研究知見の多い領域にシフトチェンジされるんですね。仕事でも、ピープルマネジメントの責任が増して、ますます実務と研究の相乗効果が生まれそうですね!


大学院で得たいものがある人は、迷わず飛び込もう


————受験準備についても伺いたいです。早稲田MBAの方って、予備校使っている方が多いと聞きますが、金原さんも通われていましたか?

いえ、僕は全くそういった類のものには通ってなかったですね。ただ唯一やったことといえば、友人にMBAを目指している人がいたので、その方に受験対策用のDVDを借りてサラッと観ました。

小論文はがっつり準備しました。過去問を1日一個解いて、ランサーズ(クラウドソーシングサービス)で見つけた方に添削してもらっていました。自分で気付けない根拠の穴だったりがあるので、そこを補完するためにフィードバックもらうのは重要だと思います。



————ランサーズってそんな使い方もあるんですね、これはいい情報が聞けました。最後に、大学院進学を迷っている方に向けて、一言お願いします!

理論を体系的に学びたい、思考力を鍛えたいなど、明確な目的がある人はぜひ迷わずすぐに飛び込んで欲しいです。一方で、大学院に幻想を抱いている人、特に僕がよく相談を受ける20代後半の子達に対しては、何を学ぶかを重要視するのであれば本で十分、多様な世代・価値観の人たちと学び揉まれることで自分を鍛えることに意義を感じないのであれば、大学院ではない選択肢をおすすめします。





————理論と実践のバランスや、他者と学ぶことを通して自分をアップデートすることに興味がある人は、ぜひ早稲田MBAについて調べてみて欲しいですね。
ありがとうございました!


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