こんにちは、Elephant Careerの秋山です。
私は都内の理系大学を卒業したのち、ITベンチャー企業に就職し、3年目から人事として評価報酬制度やキャリア開発などを担当してきました。現在では株式会社UnleashUを設立して、Webメディア『Elephant Career』を運営しています。私自身は在職中、働きながら大学院に通っていました。
この記事を読んでいる方の中には、大学受験は社会人にとって難しいのかなと思っている人も多いと思います。結論から言うと、社会人でも大学受験は可能です。この記事では、社会人が働きながら通える大学の種類や試験内容などを解説します。
大学受験の体験談も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
●社会人の大学受験は難しい?
社会人でも大学受験は突破できます。なぜなら、社会人向けに入試制度を整えている大学も増えてきているためです。きちんと準備をして、受験に臨めば社会人という立場でも問題ありません。
こういった取り組みを応援するために、国もリカレント教育を推し進めています。
参考:厚生労働省「リカレント教育」
大学受験を有利に進められる社会人の特徴
社会人でも大学受験を有利に進められるとお伝えしましたが、すべての人が受験を突破できるわけではありません。以下の2つの特徴があると、有利に進められる可能性があります。
- スケジュールを管理できる
- 目的がある
社会人が大学入試を突破するためには、スケジュール管理は欠かせません。受験をするためには、勉強以外にも期日通りに書類を出す必要があります。スケジュール管理が上手い人は、予定通りに進めて、遅れが出たときのリカバリー能力もあります。計画的に物事を進められるため、受験に有利です。
また、目的がきちんとある人も有利に進められます。目的がきちんとあれば、モチベーションが低下したときも、頑張る理由ができるため勉強を継続できます。
●働きながら学べる大学の種類
社会人が通いやすい大学は、以下の2つです。
- 夜間部
- 通信制
どのような学び方が良いか迷っている場合は、以下を参考にしてみてください。
夜間部
夜間部とは、夜間だけ講義を開講しているタイプの大学です。平日の夜だけ開講しているパターンもあれば、土日の日中にも授業をしているタイプもあります。対面で学習できるため、教授や同期と交流しやすいメリットがあります。
郊外にキャンパスを設けているなど、通いやすいよう配慮されている大学も増えています。通学して学ぼうと思っている場合は、立地なども調べて通いやすいかどうかチェックしておきましょう。
通信制
社会人として働きながら通えるのは、通信制の大学です。通信制の大学は基本的に通学する必要はありません。オンラインで完結できるため、遠方に住んでいる人でも学べるメリットがあります。
しかし、通信制の大学の中にはスクーリング(対面授業)を設けていることがあります。そのため大学を選ぶときは、スクーリングがどのくらい必要なのか事前に調べておくことが大切です。通信制の大学でも、資格を取れる学校はたくさんあります。
住んでいる地域から遠いところの大学を志望している場合は、通信制がないかチェックしてみてください。
●社会人が受験しやすいのは「社会人入試」
社会人が受験しやすいのは「社会人入試」です。社会人入試とは、社会人を対象に実施される入試のことです。働きながらでもチャレンジできるように学力ではなく、面接や小論文などで評価してもらえます。
ただし、社会人入試を受けるには条件があります。例えば、年齢制限や勤続経験などです。社会人入試を受ける前には、条件をチェックしておく必要があります。ちなみに通信制の大学は書類審査のみか、書類審査と面接が実施されることが多いです。
一般入試は受験勉強が必要
一般入試は社会人でも受験が可能です。しかし、一般入試は学力を試される試験のため、受験勉強が必要です。働きながら受験勉強をするのは覚悟が必要でしょう。
対して社会人入試は、受験科目が少なく学ぶ目的や意欲が評価されます。特別な理由がない限りは社会人入試を選択しましょう。
●社会人入試に必要な書類
社会人入試に出願するためには、以下の書類が必要です。
- 入学願書
- 卒業証明書
- 志望理由書
- 推薦状
- その他必要な書類
それぞれどのような書類なのか解説します。
入学願書
入学願書とは、社会人入試を受験するために必要な申込書類です。以下の項目を記入します。
- 名前
- 住所
- 連絡先 など
近年ではインターネット出願ができる大学が多いため、紙で書類を提出する必要はありません。出願予定の大学のWebサイト上で指定の情報を記入して、登録していきます。
卒業証明書
卒業証明書とは、最終学歴の学校を卒業したことを示すためのものです。卒業証明書を提出することで、大学入学の条件を満たしていると示せます。卒業証明書は、最終学歴の学校に直接発行を依頼しなければいけません。
そのため、手元に届くまで1週間程度かかります。出願ギリギリで依頼しても、間に合わない可能性があるため、事前に取り寄せておくのが安心です。
志望理由書
志望理由書とは、その大学に入学したい理由を記載するための書類です。合否にかかわるため、しっかりと練って執筆する必要があります。きちんと論理立てて記載することが大切です。
以下の順番で記載しましょう。
- 志望理由
- 学びたい思ったきっかけ
- そこの大学でないといけない理由
- キャリアプラン
書き終わったら、誤字脱字がないようにチェックしましょう。志望理由書はコピーして、手元にも持っておいてください。
推薦状
推薦状とは、受験者を大学に推薦するために作成する書類のことです。大学によっては、提出が必須になっています。自分の上司や同僚に依頼することになるため、余裕をもってお願いしましょう。
依頼するときにはどのようなことを書いてほしいのか、事前に箇条書きで渡しておくと執筆しやすいです。ただし、嘘はいけません。自分を正確に分析したうえで、嘘にならない程度で執筆してもらうことが大切です。
書類提出の2週間前までには、書き終えてもらうように依頼してください。
その他必要な書類
その他、以下のような書類が必要になることがあります。
- 健康診断書
- 履歴書
- 外国語検定の成績を証明する書類
- 在職証明書
上記の中には、準備に時間がかかるものもあります。直前に対応するのではなく、余裕を持って準備しておくことが大切です。
●社会人入試の試験内容
社会人入試は前述したとおり、以下の試験をクリアしなければいけません。
- 書類審査
- 面接
- 小論文
- 学科試験・英語が課される場合がある
それぞれどのような試験なのか、対策方法などを紹介します。社会人の大学受験がどのようなものか気になるときには、以下を参考にしてみてください。
書類審査
まずは書類審査です。事前に提出した書類をもとに、評価をします。評価に大きくかかわってくるのは、志望理由書です。志望理由書は大学への意欲や熱意を伝えるチャンスなので、きちんと執筆しましょう。
ほとんどの場合はルールが設定されているため、きちんと守っているかチェックしたうえで提出してください。素晴らしい文章を執筆したとしても、ルールを守っていないと評価されません。大学の中には書類審査だけで合否が決まるところもあります。
面接
大学によっては面接が課されているところもあります。面接では志望理由書を参考に、なぜこの大学で学びたいのか、将来のビジョンなどを質問されます。さらに口頭試問を課しているところもあるため、きちんと志望している分野について知識を得ておくことが大切です。
面接はぶっつけ本番で対応するのではなく、何度か練習しておくのがおすすめです。想定される質問は、自分の言葉で話せるようにキーワードを覚えておきましょう。丸暗記していると、受け答えに違和感が出てきてしまいます。
わからない質問が出てきたときには、素直に「わかりません。後ほど調べます」と伝えてください。
小論文
小論文を課している大学もあります。小論文は専門知識がなくても書けるテーマが出題されることが多いです。ただし、練習もせずにいきなり書くことは難しいです。
文章を書くことに慣れるように、練習をしておきましょう。書いた小論文は添削をしてもらうのがおすすめです。現在では予備校や塾、スキル販売サイトなどで、小論文の添削を依頼できます。経験者に添削をしてもらい、自分の小論文が評価してもらえそうかチェックしておきましょう。
学科試験・英語が課される場合がある
大学入試では面接や小論文以外にも、学科試験・英語が課されていることもあります。大学によって内容が異なるため、自分が志望している学校の過去問題を解いておくと安心です。大学によっては過去問題を公開していることが多いので、チェックしてみましょう。
●社会人が大学受験するときのスケジュール
大学受験をするときは、計画的に対策をする必要があります。以下のスケジュールを参考に計画を立ててみてください。
- 4〜6月:情報収集・オープンキャンパス参加
- 7〜8月:出願準備・受験対策
- 9〜11月:出願・受験
- 1月:合格発表
それぞれどのようなことをすればいいのか、紹介します。
4〜6月:情報収集・オープンキャンパス参加
4〜6月は情報収集とオープンキャンパスに参加して、自分の志望校を絞り込む期間にしましょう。多くの大学があるため、自分が学びたい学校を洗い出して立地や学習内容、学費などで絞り込んでください。大学の公式ホームページなどをチェックしましょう。
オープンキャンパスが開催されていれば、参加するのがおすすめです。オープンキャンパスでは、講義内容や授業の様子、入試情報などを教えてもらえます。貴重な機会なので、できるだけ参加してください。
丁寧に調べたうえで、4年間通えそうか見極めてみましょう。
7〜8月:出願準備・受験対策
7〜8月に出願準備と受験対策を実施します。まずは出願に必要な書類を取り寄せます。学科試験が課されていたり、小論文に苦手意識があったりするときは早めに対策を進めることが大切です。
9〜11月:出願・受験
9〜11月のタイミングで出願を進めていきます。事前に書類を作っておけば、指定された期日に出すだけになるため、余裕を持って対応できます。期日を過ぎてしまうと受験ができなくなるため注意してください。
受験日も体調不良や遅刻などで本来の力が発揮できないということがないように、準備しておいてください。
1月:合格発表
1月くらいに合格発表があります。合格の通知が来たら、入学手続きをしましょう。喜びすぎて入学の手続きを忘れてしまうと、合格が取り消されてしまいます。今までの努力を無駄にしないように、手続きを速やかに済ませましょう。
●社会人が大学受験をうまく乗り越えるコツ
社会人が大学受験を乗り越えるコツは、以下の8つです。
- 目標を明確にする
- 仕事に関連した入試科目を選択する
- スケジュールを徹底管理する
- スキマ時間を活用する
- 周りの理解を得る
- 塾や予備校を活用する
- 進学に必要な費用を調べる
- 働きながらが難しければ退職・休職を検討する
それぞれ解説します。
目標を明確にする
まずは目標を明確に設定しましょう。目標を明確にすることで、進学後や卒業後のイメージを思い浮かべられるため、モチベーションアップにつながります。逆になんとなく大学進学を決めてしまうと、モチベーションが低下したときに受験勉強をやめてしまう可能性があります。
入学できたとしても、目標がないため授業にも身が入らず、時間とお金を無駄にしてしまうかもしれません。目標を明確にして、モチベーションアップにつなげてください。
入試科目は得意・苦手で選ばない
入試科目は得意・苦手で選ばないようにしましょう。大学入試はほとんど面接や小論文のみですが、中には学科試験を導入しているところもあります。学科試験の科目を選ぶときには得意・苦手ではなく、学びたい分野の基礎が身につけられるものを選ぶのがおすすめです。
自分の将来像を振り返って、必要な科目を選びましょう。
スケジュールを徹底管理する
スケジュール管理は徹底しましょう。無計画に受験勉強をしても、無理をしてしまったり、十分な時間を確保できなかったりします。さらに、大学受験は書類提出などスケジュールどおりに進めなければいけません。
特に社会人は働く前や後に勉強が必要です。自分が集中できる時間帯を見つけて、効率よく勉強できるように計画を進めていきましょう。
スキマ時間を活用する
社会人はスキマ時間の活用も欠かせません。なぜなら学生と比較すると、勉強にあてられる時間が圧倒的に少なくなってしまうためです。例えば家事をしている間で、受験に関する本を耳から聞いたり、電車に乗っている時間で参考書を読んだりなどです。
勉強にあてられそうな時間を見つけて、上手に活用していきましょう。社会人の勉強については、以下の記事でも解説しているので参考にしてみてください。
社会人は勉強するべき?メリットやおすすめのジャンル・資格を紹介
周りの理解を得る
大学受験は決して1人ではできません。周りの協力を得なければいけないタイミングは必ず来ます。例えば、受験勉強のために定時に帰る必要がある場合、上司・同僚に協力してもらう必要があるでしょう。さらに既婚者の方であれば、家族との時間も取りにくくなってしまうかもしれません。
無断で受験勉強を始めてトラブルになる前に、周りに話して理解を得るようにしましょう。
塾や予備校を活用する
自分で受験勉強を進められるか不安な場合は、塾や予備校も活用していきましょう。塾や予備校と聞くと学生が対象に思われますが、中には社会人に特化したコースを用意しているところもあります。塾や予備校では、志望校探しのサポートや学習スケジュール作成、入試方式の提案などをしてもらえます。
社会人の大学受験は孤独になりがちです。塾や予備校へ行けば講師と交流できるため、孤独を感じにくいです。1人で大学受験を乗り切れるか不安な場合は、塾や予備校を活用しましょう。
進学に必要な費用を調べる
進学に必要な費用も調べておきましょう。大学進学は多くのお金がかかるため、奨学金や給付金制度を利用するか検討が必要です。一般的には国立よりも私立のほうが学費が高くなる傾向にあります。
費用については、志望する大学の公式ホームページに掲載されています。奨学金については、以下の記事も参考にしてみてください。
働きながらが難しければ退職・休職を検討する
社会人で大学に進学する人の中には、働きながら学ぶ人もいれば、退職・休職して勉強する人もいます。特に環境によっては、退職・休職の選択を取らなければいけないときもあるでしょう。
ただし退職・休職を選択する場合、経済面で負担がかかったり、仕事のブランクができたりするため注意が必要です。将来のことを考えながら、退職・休職するべきか検討してみてください。
●社会人から大学受験を成功させた人の体験談
ここからは社会人から大学受験を成功させた人の体験談を紹介します。
- 充実感が得られていないという思いと世の中の動きをきっかけに進学
- 自分自身への物足りなさと不甲斐なさから進学
- 自分に自信を持ちたくて進学
それぞれの体験談を参考にしてみてください。
充実感が得られていないという思いと世の中の動きをきっかけに進学
京都芸術大学芸術学科芸術学コースを修了した加藤綾佳さんは、充実感が得られていないという思いと世の中の動きをきっかけに進学を選びました。進学した当時、勤めていた会社では充実感が得られていませんでした。なにか充実感が得られることをしたいと思っていたそうです。
さらに同じタイミングでコロナウイルス感染症が世界で広まり、オンラインで学べる環境が整いました。そうした動きが加藤さんの進学への後押しになりました。
加藤さんは仕事とは関係がない分野で大学進学をしていますが、学んだことの中には業務の役に立ったこともあると話します。日々の生活で充実感が得られていないと感じるときには、進学を検討してみてください。加藤さんの記事は以下でもチェックできます。
自分自身への物足りなさと不甲斐なさから進学
相川さんは短大を卒業後に就職しましたが、働いている環境に物足りなさを感じるようになっていました。その後変化を自分に起こすために、アメリカへの語学留学を決行します。しかし結果はうまくいかず、残ったのは自分への不甲斐なさでした。
相川さんは留学で勉強不足を痛感し、大学受験を決意します。実際に塾に通いながら学習面を指導してもらい、大学合格をつかみ取りました。自分自身への課題を感じている場合は、相川さんのように進学を検討してみてください。
参考:キズキ式「30歳を超えてからの社会人入試。仕事と勉強を両立して大学受験合格をつかむまで」
自分に自信を持ちたくて進学
シングルマザーの高岡さんは、自分に自信をもつために大学への進学を決意しました。高校を中退している高岡さんは、離婚をして再就職する際に、自己PR覧で挫折経験しか書けないことに悔しさを感じていたそうです。実際に通信制の大学に進学しましたが、自信をつけることはありませんでした。
そこで一念発起し、全日制の大学への受験を決めました。挫折経験を乗り越えるために、あえて一般入試を選択。入塾し、1年間勉強を継続して合格を掴み取っています。
参考:キズキ式「シングルマザーの大学受験体験記〜講師の支えのおかげで勉強と子育てを両立できた〜」
●科目等履修生として学んでみるのもおすすめ
大学進学にハードルを感じる場合は、科目等履修生として学ぶのもおすすめです。科目等履修生の場合、1科目から履修でき、自分の興味がある分野をピンポイントで学べます。単位も取得できるため、科目等履修生が修了してから正規入学を考えている場合にもおすすめです。
入試はありますが、書類審査のみの場合がほとんどです。聴講生もありますが、単位が取得できないため注意しましょう。
●社会人でも大学受験は突破できる!
社会人でも大学受験は突破できます。ただし、無計画に進めてしまうと、受験に失敗する可能性があります。きちんと計画を立てて、受験に望むことが大切です。
社会人が働きながら大学に進学する場合は、夜間部または通信制を選択しましょう。社会人が利用しやすいのは、社会人入試です。書類審査や面接が中心で、人物で評価してもらえるため、勉強時間が取りにくい社会人でもチャレンジしやすいです。
今回紹介したコツやスケジュールを参考に大学受験をしてみてください!