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こんにちは、Elephant Careerの秋山です。
私は都内の理系大学を卒業したのち、ITベンチャー企業に就職し、3年目から人事として評価報酬制度やキャリア開発などを担当してきました。在職中はほぼ倍のスピードで拡大していく組織に対し、現場で得た経験や学びだけでは人事として事業を引っ張っていくに足りないと考えて、修士課程に進学しました。
体系的に知識を得ることで、自信を持って仕事を進められるようになっています。この記事を読んでいる人の中には、過去の私のように課題感を感じて、社会人から博士課程に行こうか迷っている人もいると思います。
そこでこの記事では、社会人で博士課程に行くのは大変なのか、行くメリットや両立のコツなどを解説。博士課程に行っている方の体験談なども紹介するので、参考にしてみてください。
●社会人で博士課程に行くのはきつい?
社会人で博士課程に行くのはきついと言われることが多いです。そもそも博士課程自体が多忙で、そこにプラスして仕事が入ってくるため、楽に学位を取得できると考えていると失敗してしまう可能性があります。かといって社会人として働きながら博士課程の修了は不可能ではありません。
進学までの徹底した準備と周りの協力があれば、博士課程を終了できます。きついからといって諦めず、まずはチャレンジしてみるのがおすすめです。
修士と博士の違い
博士とは、大学院の博士課程で所定の単位を取得して、論文の審査に合格した者が得られる学位です。似た言葉で修士がありますが、以下のように違いがあります。
- 博士課程前期:修士
- 博士課程後期:博士
修士は大学院の修士課程でも得られる学位です。
また、修士と博士では目的が異なります。修士の場合は研究能力または高度な専門的な職業を担うための優れた能力を養うことが目的です。対して博士は自立した研究をするための専門知識や能力を養うことを目的に学びます。それぞれ学ぶ目的が異なる点にも注意が必要です。
参考:文部科学省「2 博士,修士,専門職学位課程の目的・役割の焦点化」
●社会人で博士課程に行くメリット
社会人で博士課程に行くメリットは、以下の4つです。
- キャリアアップができる可能性がある
- 専門知識が得られて、学びに深みが出る
- キャリアを中断する必要がない
- 新たな人脈が作れる
博士課程に行くべきか迷っている場合は、以下のメリットを参考に検討してみてください。
キャリアアップができる可能性がある
博士課程に行くことでキャリアアップができる可能性があります。会社によっては、博士号を取得することで手当などがもらえるところがあります。たとえ手当がもらえなかったとしても、博士課程で学んだことを仕事に活かして成果を出せば、昇進や昇給などができるかもしれません。
転職でキャリアアップを図るときにも、自分の能力をアピールする材料になるため、有利に働きます。博士号の取得で、キャリアの選択肢がぐっと広がるでしょう。
専門知識が得られて、学びに深みが出る
博士課程に行くことで、専門的な知識が得られます。博士課程では最新の研究をしていくため、専門性が深まっていくのです。この知識を利用すれば、仕事の業務改善などもできる可能性があります。
専門的な知識を得て、仕事に活かし、大学院で学ぶというループを繰り返すことで、さらに学びに深みも増していくでしょう。仕事と博士課程での学びをうまくかけ合わせることで、どんどん知識を吸収できます。
キャリアを中断する必要がない
キャリアを中断する必要がないことも、社会人博士のメリットです。昼に開講している大学院の博士課程に進学しようとすると会社を辞めたり、休職したりしなければいけません。
すると、もらえるはずだった収入が得られなくなってしまいます。さらに働いているうちに得られるはずだった昇進のチャンスも逃してしまうでしょう。働きながら博士課程に行けば、収入や昇進の権利を維持したまま学べます。
博士課程への進学で経済的な心配がある場合は、働きながら学ぶのがおすすめです。
新たな人脈が作れる
普段の生活をしていると、会社と家の往復のみで新しい人脈を作るチャンスはありません。博士課程に進学すれば、さまざまな人と出会えます。博士課程は、年齢・役職・性別関係なくいろいろな人が集まってくるため、新しい居場所にもなりますよ。
1つの場所に依存するのではなく、分散させることで心理的にも安定してきます。さらに業務と関係したジャンルの大学院に進学すれば、仕事に関連した人脈も作れます。未来のビジネスパートナーに出会えるかもしれません。
その他、社会人が大学院に行くメリットを知りたい場合は、以下も参考にしてみてください。
●博士課程と仕事を両立するコツ
博士課程と仕事を両立するコツは、以下の5つです。
- 職場に事前に相談しておく
- 通いやすい大学院を選ぶ
- すべて完璧を目指さない
- スケジュール管理を徹底する
- 進学前に経験者の話を聞いてみる
それぞれ詳しく解説します。
職場に事前に相談しておく
博士課程に進学する場合、職場の協力は必要です。社会人博士の場合、仕事終わりに講義が入ってくることがあります。そのため、仕事を同僚にお願いしたり、業務にさける時間が少なくなってしまったりする可能性があります。
事前に説明して理解を得ておけば、そういった事態になったとしても問題なく受け入れてもらえるでしょう。進学してからだとトラブルになることもあるため、博士課程へ進もうか迷っている段階で相談しておくのがおすすめです。
通いやすい大学院を選ぶ
社会人で博士課程に進学をする場合は、通いやすい大学院を選択しましょう。希望するジャンルの勉強ができたとしても、通い続けられなければ修了できません。通学制を選択するのであれば、仕事終わりでも無理なく通えるかどうか調べておきましょう。
オンラインで学ぶ場合も、無理のない時間に受けられるかチェックしておくことが大切です。特に転勤などがある仕事に就いている場合は、オンラインで学べるところも検討しておくと急な引っ越しなどにも問題なく対応できます。
すべて完璧を目指さない
働きながら博士課程に通うことはとても大変です。すべてを完璧にしようとすると、時間が足りなくなってしまうでしょう。プライベートや家族との時間が取れなくなってしまう可能性も出てきます。
時間が足りずにパンクしてしまう前に、完璧を目指さないという心構えをしておくのがおすすめです。例えば業務中に許可をもらって、社会人博士の作業をしたり、時短勤務をさせてもらったりなどです。すべてを完璧にしようとせず、協力が得られそうなところは頼ってうまく時間を作りましょう。
スケジュール管理を徹底する
社会人博士として学んでいくうえで、スケジュール管理は欠かせません。前述していますが、働きながら博士課程で学んでいると時間がなくなってしまいます。頭の中だけでスケジュールを管理しようとすると、漏れが出てくるでしょう。
スケジュール管理ツールなどを活用して、いつまでに何をするべきか常に把握できている状態にするのがおすすめです。家族との時間などは予定に入れておかないと、なかなか作れません。そういった時間も意図的に入れるようにしてください。
進学前に経験者の話を聞いてみる
働きながら博士課程で学んでいけるか不安に思う方は、事前に経験者からも話を聞いておくのがおすすめです。実際に経験した人から進学の大変さやメリットなどを聞くことで、自分だけで考えているよりも、イメージしやすくなります。
経験者から話を聞くときには、事前に質問事項をまとめておきましょう。周りに経験者がいない場合は、インタビューも参考にしてみてください。
●博士課程でお金はどのように調達するべき?
博士課程への進学でネックになるのは、お金です。しかし博士課程はすべて実費でいかなければいけないわけではありません。調達する方法はあります。
今回は以下の4つの方法を紹介します。
- 奨学金
- 教育訓練給付制度
- 教育ローン
- 会社の支援制度
どのような制度か紹介しますね。
奨学金
奨学金とは学生に対して学費を貸し出したり、給付してくれたりする制度です。奨学金団体はさまざまあります。さらに、進学先の学校独自の奨学金を用意していることもあります。
奨学金を借りるためには、審査を通過しなければいけません。奨学金制度はいろいろな団体が提供しています。そのためよく調べてから、自分のプランに合ったものを選ぶようにしましょう。
奨学金についてさらに詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてみてください。
教育訓練給付制度
教育訓練給付制度を利用して、給付金をもらう方法があります。教育訓練給付制度とは、労働者のスキルアップを目指すために作られた制度です。厚生労働大臣の指定を受けた講座を受講・修了して、ハローワークに申請することで給付金がもらえます。
教育訓練の種類によって、給付率は異なります。
- 専門実践教育訓練:最大で受講費用の70%(年間上限56万円)
- 特定一般教育訓練:受講費用の40%(上限20万円)
- 一般教育訓練:受講費用の20%(上限10万円)
進学先によって教育訓練給付制度を利用できるか、どの種類に当てはまるかが変わってきます。利用を検討している場合は、事前に調べておくと安心です。
参考:厚生労働省「教育訓練給付制度のご案内」
教育ローン
教育ローンとは、学費などを工面するために用意されたローンのことです。さまざまな銀行が提供しています。奨学金と比較すると金利が高いデメリットはありますが、いつでも申請ができ、学力を問われないメリットがあります。
教育ローンの利用を迷っている場合は、クラウドローンを使用してみてください。クラウドローンは必要事項を登録すれば、各銀行から借り入れの提案をしてもらえます。銀行に問い合わせる手間が省けるため、負担が少なくなりますよ。
詳しい内容は、こちらを参考にしてみてください。
会社の支援制度
企業の中では、博士進学を支援してくれるところもあります。例えばメルカリでは、進学にかかる費用を全額支援して、働き方も週休3・4日など選択できる制度を用意しています。ほとんどの場合、制度の利用には社内選考があるため、注意しましょう。
ただし、すべての企業で用意されているわけではありません。自分の会社で支援制度があれば、積極的に利用してみてください。
●社会人で博士課程を目指す人におすすめの大学院
社会人で博士課程を目指す人におすすめの大学院を紹介します。今回紹介するのは、以下の3つです。
- 筑波大学大学院
- 九州大学大学院
- 宇都宮大学大学院
それぞれ詳しく解説していきます。
筑波大学大学院
筑波大学大学院では、一定の研究成果や能力を持っている社会人に対して「早期修了プログラム」を提供しています。早期修了プログラムとは、通常3年通う必要がある博士課程を1年に短縮できるものです。この制度を利用するためには、社会人で研究してきた実績が必要です。
他にも短期間で単位を取得できるように75分×10コマ(週)にしています。5週間で単位の取得ができるよう工夫されていて、多忙な社会人でも通いやすい環境が整っています。筑波大学大学院については、こちらをチェックしてみてください。
筑波大学大学院に進学した人の体験談を知りたい場合は、以下を参考にしてみましょう。
九州大学大学
九州大学大学院総合理工学府では、企業などに在籍したまま学べるよう「社会人特別選抜入学者制度」を用意しています。特定の条件をクリアすれば、1〜2年の短期間で卒業も可能です。さらに時間をかけてゆっくり履修したい人には、長期履修も用意されています。
業務形態に応じて集中講義やレポートによる単位認定、オンラインでの指導なども実施。柔軟に対応してくれます。学業と業務の両立に不安を感じている場合は、検討してみるのもおすすめです。
九州大学大学院総合理工学府については、こちらをチェックしてみてください。
宇都宮大学大学院
宇都宮大学大学院では、働きながら研究するドクター向けに、平日の夜間・土曜日に講義を開講しています。さらに修了課題に必要な研究・調査の期間を集約して、負担が少なくなるよう配慮しているのが特徴です。現職での業務や研究をドクター論文に活用して、単位を取得できます。
長期履修も受け入れているので、時間をかけながら学びたい人にも向いています。宇都宮大学大学院については、こちらをチェックしてみてください。
●社会人博士の体験談
社会人で働きながら博士課程に行った人たちの体験談を紹介します。
- 岩本(大久保)慧悟さん
- sammytzさん
それぞれ違った経験をしている方たちです。身近に社会人博士がいない方は、参考にしてみてください。
岩本(大久保)慧悟さん
岩本さんは、仕事に慣れてきたときに成長の実感が得られにくくなったことを受けて、さらなる進化を遂げるために進学しました。進学するうえで、両立は体力的にはハードだったといいますが、所属組織が増えることで依存先が分散されて心理的負担が軽くなったそうです。
研究と関連性の高い仕事をして、相乗効果を生み出して時間を活用しています。岩本さんの体験談について詳しく知りたい方は、以下を参考にしてみてください。
sammytzさん
sammytzさんは、2020年に博士号を取得しました。フリーター→非正規工場労働者→ブラック企業→公務員という経歴の持ち主です。キャリアアップをするために、博士課程に進んでいます。
sammytzさんの仕事と学業の両立の鍵は、家族でした。学会などで出てしまうときでも、奥さんに協力してもらっていたそうです。家族の協力がなければ、修了できなかったと言います。進学には家族の協力が欠かせません。進学前には家族に、事前に相談しておくのがおすすめです。
sammytzさんの体験談について詳しく知りたい方は、以下を参考にしてみてください。
●社会人からでも博士課程にチャレンジしてみよう!
社会人からでも博士課程にチャレンジはできます。ただし、時間を作る必要があるため、スケジュール管理は鍵になるでしょう。もし両立を考えている場合は、今回紹介した5つのコツを参考にしてみてください。
もしも周りに話を聞ける人がいない場合は、Elephant Careerのインタビューを参考にしてみましょう。