自分が成長しないと、外部環境に流され続ける。慶應MBAへの留学で掴んだもの。

働きながら学ぶ人を紹介する「先輩インタビュー」

今回は、freee株式会社で事業企画をご担当されている、周薇(vivi)さんに慶應ビジネススクールでの経験についてインタビューさせて頂きました。中国の大学を卒業されてから、日本のMBAを出て、日本企業で働くまでのストーリーについて根掘り葉掘り聞いています。

実は、えれキャリの秋山とviviさんは同じ時期にfreeeの事業企画で働いていました。viviさんのキャリアについて聞くのは初めてでしたが、今の明るくて真の強いviviさんが形成されるまでの経緯を垣間見れた気がするインタビューでした。

周薇(vivi)さんプロフィール

中国生まれ中国育ち、そして急速成長してきた中国市場で得た経験を生かし、日本で新たなキャリアアップをするために、日本のビジネススクールに進学してビジネスをゼロから学び直しMBAを取得。現在はfreee株式会社で事業企画の仕事をしている。

職歴

  • バロックジャパンリミテッド(の上海現地法人)、研修講師 1.5年
  • マガシーク(の上海現地法人)、法人営業 0.5年
  • 三陽商会(の上海現地法人)、営業企画 1年
  • パーソルキャリア(の上海現地法人)、事業企画 3年
  • freee、事業企画にて現職

学び歴

  • 東華大学(Donghua Universiity)
  • London College of Fashion
  • 慶應義塾大学大学院経営管理研究科

大学院検討の軸


———— まずはviviさんのご経歴について教えてください。

今はfreee株式会社で事業企画を担当しています。事業計画や予実管理などを担当しています。経歴としては、アパレル業界で3年、人材紹介業界で3年、その後フルタイムの大学院2年間を挟んで、今のfreeeに転職してきて今3年とちょっと経ったところですかね。

もともと紡織・服飾デザイン等の分野で割と有名な東華大学、旧中国紡績大学というところを学部で卒業しました、なのでもともと繊維や服飾には興味があり、アパレルからキャリアをスタートしました。

その大学の中でも、日本語学科を出たのですが、当時リーマンショックが起きた頃で就職難と言われていて、それじゃなくても中国の就職競争は激しいので、ここで下手に就職するよりも留学しようと思って、ロンドンのロンドン・カレッジ・オブ・ファッションに入学して、1年間スタイリングとかヘアメイクの勉強をしました。イギリスで就職してもよかったんだけど、あっちの天気とご飯が合わなくて、これは中国に戻ってくるしかないなーと思って、中国で就活をしました笑。そこでオファーをもらったのが、バロックジャパンリミテッドという日系のアパレルの企業でした。





———— バロックって、あのRIMARKとかMOUSSYとかの!10代20代の女性が好きなブランドですよね、私も結構お世話になっています。

おーホントですかー?

当時バロックが中国に進出しようとしていた時に、オファーをもらったんですよね。今みたいにInstagramとかまだ一般的じゃない時代でしたけど、カリスマ店員で売るっていうインフルエンサー商法が当時も流行っていて、それを中国で仕掛けるために、中国語・日本語・スタイリングのわかる人をトレーニング人材として募集していて、ぴったりだったっていう。

でも、私が就職してから1.5年で中国の会社にバロックの中国法人が買収されちゃうんですよ。結構年齢層が高いレディース靴の企業で、私の他にいた日本人のスタイリングトレーナーの方がリストラになってしまって、私も明日は我が身だなと思って、転職を決意しました。





———— おおお、結構カルチャーの違う企業に買収されたんですね。

そうそう。カリスマ店員で売るっていうやり方自体が戦略から外れてしまって、人としてリストラされるというより、ポジションが無くなる未来が見えてましたね。その後も2社アパレル業界内で転職したのですが、これもまた色々あって。1社目もバロックと同じ日系アパレル企業だったんですが、半年で株主が変わったことによって中国から撤退が決まり転職を余儀なくされました。2社目は三陽商会っていうバーバリーとのライセンス契約で有名だった企業だったのですが、私が入社してすぐにバーバリーとの契約が切れ、海外市場から撤退することが決まり、また転職しなくちゃいけなくなったっていう流れです。

新卒で就職した業界・企業がこんなに不安定だったので、もう絶対4社目はアパレルに入りたくないって思ったんです。あと、大学では日本語と英語を学んだだけで、留学先でもファッションのことしか学んでないので、本当にビジネスのことを全く勉強してなくて、どうしようかなと悩んでいました。転職文化の中国でも、流石に3年間の間に3回転職はあまり印象がよくないので、次は慎重に行こうっていう気持ちでした。ただラッキーだったのが、3社目の三陽商会では営業企画という企画職をやっていたので、アパレル業界以外で企画系の仕事を探してくれって、人材紹介会社にお願いしました。



自分が成長しないと、外部環境に流され続ける

その仕事紹介を頼んでいた人材企業というのが、パーソル、当時のインテリジェンスだったんですが、担当者の人に逆にスカウトされたんですよ。営業企画じゃなくて事業企画だけど、業務内容近いのでやってみませんか?って





———— すごい、とんとん決まったんですね!中国現地のインテリジェンスってことは、中国の人材を日系企業や現地法人に紹介するってことですよね。

そうですそうです。アパレルと違い、人材業界自体も成長しているし、会社の雰囲気もよかったし、転職してよかったなと思いました。まあでも、ここからもまた安定しないんですが。インテリジェンス中国は、中国人の設立者と日本法人の合併法人で、それ自体は問題なかったんですが、その後テンプスタッフとインテリジェンス中国が経営統合しました。その過程で、アメリカのヘッドハンティング企業とジョイントベンチャーになったんです。

米国企業とPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション:合併・買収のプロセスのこと)をしていく過程で、私がいた企画部署がその担当になったんです。その中で、リストラもあったし、後から米国法人が採用したMBAホルダーがPMIの責任者になったりして。

でも、自分の能力不足も同時に感じて。もっと能力がある人を責任者に据えたい気持ちもわかりました。もともとアパレル業界が安定しないからと、人材業界に入りましたが、業界や企業に安定性を求めるのではなくて、自分自身がビジネス的な力をつけなくてはダメだと思うようになりました。





———— 語学やファッションを学び、キャリアが開けるきっかけになったけど、さらにビジネスの原理原則や本質を学ぶことで、先を見据えて自分自身のスキルで安定したいと感じるようになったんですね。これだけ壮絶なキャリアだったら、そう思うのも想像ができます。

ハードなMBA生活にカルチャーショック


———— 中国ではなくて日本でMBAに行こうと思ったのは、理由があったのですか?

ずっと日系企業で働いてきて、きっと今後も日系企業で働くだろうなって思っていたので、中国ではなくて日本でビジネスを学んだ方が通用するだろうと考えていました。高校の頃にバスケ部のマネージャーをしていたんですが、当時スラムダンクが中国でめちゃめちゃ流行っていて、その頃から日本のことは好きでしたね。




————「あやこ」じゃないですか!日本のMBAはいくつか受験されたんですか?

慶應、早稲田、名古屋商科大の3つを受けました。その中で慶應と名古屋商科大に合格しました。パートタイムの大学院で働きながら学ぶのは、外国人としてハードルが高く感じたので、フルタイムの大学院でゆっくり学ぼうかなと思い、慶應を選びました。でもフルタイムも舐めてましたね、学生しながらちょっとゆっくりしようかななんて思ってましたが、人生で一番ハードだし成長した2年間だったなって思います。

慶應はひたすらケーススタディを読むのですが、1年間に200本くらい読みますよ、1本40ページくらいあるケースです。しかもただ読むだけじゃなくて、個人予習→グループ議論→授業→復習→次の個人予習を繰り返すんです。働いている時よりもハードで、カルチャーショックでしたよ。朝8時から夜の12時までずっと大学にいる、みたいな生活でした。

教授からの理論のインプットは一切ないです。参考図書を渡されて、知識のインプットは自分でしてくださいね〜って感じです。授業では教授とケースについて議論するだけです。慶應はケース中心なのが特徴ですね。理論は自分でインプットして、ひたすらケースを読みながらアウトプットしていきます。インプットとアウトプットの行き来が多いので、授業で理論的解説がなくても身になっている感覚はあります。私はケースを通していわゆる「ビジネス基礎」である、マーケティング・戦略・会計・ファイナンスを体系的に身につけていきました。



freeeとの出会い、事業企画として


————viviさんとfreeeとの出会いも、ケーススタディでしたよね?

そうなんです、freeeがケースとして取り上げられていて興味を持ちました。そこから面接を受けて、卒業した年の5月に入社しました。やはり会計知識はfreeeでの業務に直接活きていると感じます。まあでもジェネラル的に言えばやはりビジネス感覚磨きですかね。

MBAはビジネスケースを通じて様々なシチュエーションではどう考えればいいのか議論します。その考え方もいろんなフレームワークにまとめられて、それを使って様々な事象を分析し、課題解決していきます。仕事への還元としては、その方法論を学んで生かしたというより、その方法をいろんな人とのディスカッションを通じて、自分のものに変えて、自分のビジネス感覚を磨いたことによって、仕事ででた新たなシチュエーションの分析と課題解決に繋がったと思います。



MBAは、成長鈍化を感じる人におすすめ


———— 受験準備はどんなことを?

実は、特に準備らしい準備はしていないです。MBA試験の特徴として、知識量を問われるのではなく、思考力や考え方を問われることが多いので、今までの経験から学んだことをまとめたり、問題の系統を見てそれに対する自分の考えをまとめておいたり、それくらいですね。





————業務の棚卸し、学びの棚卸しが受験準備につながるんですね。では、どんな人に社会人大学生として学ぶことを奨めますか?

成長鈍化を感じている人ですかね。やっぱり学んで何かを得ることって楽しいと思うんです。最近行き詰まっているなとか、このままでいいのかな、と思う人にはぜひお勧めしたいです。



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