社会人大学院の経験談を紹介する「先輩インタビュー」
今回は、グロービス経営大学院経営研究科を修了された青栁 寛之さんです。
現在までプロデュース業を経験してきた青栁さん。当時の仕事へのやり切った感覚があり、ポータブルスキルを身に着けたいと考えグロービスに進学しました。MBAスクールに通って、自分にとって進学は当たり前になったと語ります。今回は、青栁さんのMBAスクールに対する考え方などをお聞きしました。
株式会社電通プロックス入社 TVCMプロデューサーとして、数多くのCM制作に関わる。
その後、株式会社電通クリエーティブフォースに転籍。
エージェンシープロデューサーとして広告を通じたブランディングに関わる。
卒業・修了した大学・大学院:グロービス経営大学院経営研究科卒業(MBA)
入学年月(年齢):2019年4月(50歳)
修了年月(年齢):2021年3月(52歳)
●プロデュース業をしてきた青栁さんの経歴
—————まず大学院の話に入る前に、経歴について簡単に教えてください。
株式会社電通プロックスに新卒で入社しました。テレビのコマーシャルの制作をする会社です。最初はアシスタントから始まって、途中でプロデューサーに昇格します。その後グループ内で転籍し、エージェンシープロデューサーとして、某自動車メーカーなどの広告プロデュースーを16年させてもらいました。
そして、2022年12月に会社を退職しました。
●グロービスにはポータブルスキルを得るために進学。大学選びの基準とは?
—————グロービスに進学したきっかけを教えてください。
40歳で転籍するときに、一度は会社を辞めようと思ったんです。「会社内の仕事はやり尽くしたので、辞めても良いかな」と思ったのですが、結局辞められませんでした。大学の頃から電通の方々にはお世話になって愛着もあり、なかなか踏ん切りがつきませんでした。結局、一旦その気持ちをしまって、働き続けようと思い直したんです。
ただ、キャリアパスというのでしょうか。そういう意味では限られている感じがありました。自分の中では、会社の仕事を山に例えたら、登りきってしまった感覚があったんです。次のキャリアパスが残されているかというとそうでもなく、ポータブルスキルを身につけて、いつでも辞められるようにしておきたいと思い進学を決意しました。
—————グロービスにはこだわりをもっていたのでしょうか?
実際は、グロービスじゃなくても良かったです。当初は、他のMBAに行こうと思っていました。私は大学院で、アカデミックなことを学びたいのではなく、実践的なことを知りたいと思っていました。
そういう意味でグロービスは、講師に現役コンサルタントが多いので、その方たちから学べるのはメリットが大きいと思ったんです。授業が取りやすいことも大きかったです。
—————グロービスに行く決め手になったできごとがあれば、教えてください。
一度、グロービスのデモ授業を受けたときに、山岸さんという方が司会進行されていました。その方も卒業生で、その論理的なトークを見て素晴らしいと思いました。グロービスに行ったら、これほど論理的に説明できるのかと感じたんです。結構、影響されたかなと思います。
—————その一瞬で心をつかまれたんですね。
●グロービスに行って仕事の行き詰まり感が解消された
—————大学院に通っていたときの仕事に対する思いなどを教えてください。
グロービスに行くまで、僕の中で仕事に行き詰まりを結構感じていました。やりきった感覚があったので、あまり仕事に対してモチベーションが上がりませんでした。
ただ、グロービスで学んでいく中で、まだやれることがあるのではないかと考え、社内でやりたいことをアプローチしました。しかし、残念ですが、何も変わりませんでした。
—————ありがとうございます。グロービスに行ってみて、面白かったことや学びになった授業などはありますか?
グロービスに通学していたときは、講師と生徒みんなで授業後に食事に行くことが多かったです。いろいろな企業の方とお話ができることは学びになりました。今でも何人かの講師の方とは、たまに会って食事をする関係です。またオンラインで深夜に勉強会をすることも多々ありました。
—————グロービスの先生や生徒と出会って、自分のキャリアの行き詰まり感などに変化はありましたか?
そういう方々と出会ったからといって、自分の環境は何も変わりません。ただ学んだことによって、自分の世界をやはり少し違う視点で見られるようになったのは良いですよね。
ビジネスの仕組みが分かったような感覚がありました。グロービスに行って思ったことは、「もっと早くMBAを学んで、ビジネスの現場にいれたら良かった」ということです。
—————なるほど。進学は必須であると。
●夫婦で大学院に行くことで進学への理解もスムーズに
—————グロービスに行くときの会社や家族への説明は問題なかったでしょうか?
会社とかは、夜や土日の講義なので、何とかやりきれました。遅れて、妻も一緒にグロービスに通いました。なので、説得などで苦労することはありませんでした。
—————ご夫婦で通っていらしたんですね。知りませんでした。
夫婦で行ったことによって大学院への理解がお互いにできたように思います。ただ、家計における大学院のエンゲル係数は非常に高かったです。(笑)妻も「もっと早くMBAスクールで学んでおけば」と僕と同じようなことを言っていましたね。
●今後に描くキャリアは「起業」
—————今後のキャリアや学びについて、簡単に教えていただけますか?
そうですね。現在はブランディングを中心としたコンサルティングで起業しました。
勉強の面では、身についていない部分もあるので、学習は続けていきたいです。ファイナンスとかは、日頃使わないので頭から抜けています。きちんと学び直したいですね。
●社会での戦闘力を身につけるために大学院は当たり前の存在
—————青栁さんにとって、大学院はどのような場所でしょうか?
ちょっと偏った発言になりますが、MBAの知識はビジネスに当たり前の存在だと思いますね。仕事をされている人は、MBAスクールで学ばれた方が良いと思いました。実際に学ばないと、分からないことはたくさんあります。自分がこれほど分からなくて、よく仕事していたなと思いました。
—————ありがとうございます。青栁さんにとって学び続ける、学び直すことに対する考え方を教えてください。
ビジネスで戦える能力は大学までの学びだけでは、装備が足りないと思うんですね。そのため、30代のときに一度はMBAスクールで学び直した方が良いだろうと思います。できれば、僕は働きながらではなくて、休んで勉強してみたかったなと思っています。
一度学び直せば、もう少し自分なりに人生を再設計ができるのではないでしょうか。
—————どのような人に進学をすすめるか教えていただいても良いですか?
僕みたいな40歳を越えた人たちにもおすすめしたいです。今まで経験と勘でやってきたところを論理的に勉強することによって、少し自信がつくと思うんですね。年齢に関係なく、学びに行ってほしいと思います。ビジネスの世界の見え方が変わりましたね。
僕自身MBAスクールは、なに一つネガティブなことはありませんでした。ただ社会の評価はそれほどでもない。
—————そうなんですよ。その部分を変えたいです。
僕がグロービスで学んでいたときにとある先生が「MBAはFAXと同じだ。1台使えるものを置くのではなく、いろいろなところに使えるようにオフィスに設置するべきだ。FAXと同じようにMBAを持つ人材が増えた方が、企業にとっても社会にとっても良くなる」とおっしゃっていて、まったく同感だなと思いました。1人だけMBAを持っている人が会社にいても仕方がありません。
—————本当にそのとおりです!本日は貴重なお話ありがとうございました!
執筆者:堀口 祥子