MBAで学んだ基礎を「ピロタカ流」に変換 グロービス経営大学院

社会人大学院の経験談を紹介する「先輩インタビュー」
今回は、グロービス大学院を修了した中島 ピロタカさんです。

一般社団法人 日本だじゃれ活用協会の主要メンバーとしてメディアで活躍中のピロタカさんは、ビジネスでもニッチにこだわり続ける「300万人に1人の激レアさん」です。「グロービスでは教えてくれない大切なこと」というタイトルの講演は、新しい視点、異なる価値観、具体例が面白くシンプルで分かりやすいなど、グロービスコミュニティで絶賛されました。概念の言語化やコミュニケーションについて、MBAで学んだことを実践しながらユーモアというツールを駆使して進化させているピロタカさんのお話からは、埋もれないキャリアを築くための多くの示唆が得られます。

 

中島 ピロタカさん

「バカな」×「なるほど」の戦略を武器に、常人には理解できない「だじゃれ発想力」で、次々とユニークな企画を生み出し、だじゃれ界のトップランナーとして活躍中。

2020年9月グロービス経営大学院では初開催となるTED公認イベント「TEDxGlobisU」にはトップバッターとして登壇。だじゃれの日の企画発案、かとう唯(だじゃれアンバサダー)のプロデューサーとしても知られ、メディアにも多数出演している。

TEDx Talks:https://youtu.be/YAuHRr8Q1pw

Wikipedia: https://w.wiki/4y48

卒業・修了した大学・大学院:グロービス経営大学院 仙台校
入学年月(年齢):2017年4月(39歳) 
修了年月(年齢):2019年3月(41歳)

ニッチにこだわり、更なるスキルと人脈を求めて大学院へ

—————日本だじゃれ活用協会の活動で、メディアによく出演されていらっしゃいますよね。TEDも拝見しました。

 よく「だじゃれ」で食べていると思われているんですが、だじゃれは福業(副業)で本業は違うんです。3年ほど前に転職し、現在はVAIO株式会社で働いています。日本だじゃれ活用協会での仕事は私にとって名刺代わりで、営業先でも社内でも名前と顔を憶えてもらうことに役立っています。

 

—————そうなんですね、すっかり勘違いしていました。VAIOではどんなお仕事を?

パソコンの法人営業です。パソコン市場はコモディティ化が進んでいて、成熟市場と言われておりますが、VAIOはモバイルパソコン市場に特化し、コロナ過におけるテレワークの浸透も追い風になり、会社全体のパソコン販売台数は前年比の約1.7倍。私の個人実績は約4.5倍で売りまくってるので、会社ではエースと呼ばれております。VAIOと聞くと個人向けパソコンというイメージが強いかもしれませんが、2014年にソニーから不採算事業として切り離されてから国内市場に特化。個人向けから法人向けに販売する方針に転換し、斬新なデザインを売りにするのではなく、品質を重視するように戦略を変えました。現在は国産ブランドであることや使い勝手、品質の高さで他社と差別化し、競合他社よりも5万円高くてもVAIOを買いたいというお客様にパソコンを販売しています。

僕はもともとニッチな仕事が好きで10を100にする仕事より、0を1にする新規事業の立ち上げや、1を10にするような事業の型を作る仕事のほうが好きなんですよ。就職氷河期世代でもあるし、一人っ子で目立ちたがりの性格が関係しているのかもしれません。敷かれたレールの上を歩くのが苦手で大手企業には向いていないと思うし、入社してもみんなと違う事をやりだしてしまうので目立っちゃうんですよね。VAIOでも営業だけでなく新規事業の立ち上げメンバーにも入らせてもらっています。

転職歴が多くVAIOは9社目です。1社目はサトームセンという家電量販店でした。将来のことをよく考えず、家電製品が好きだという理由で就職したのですが、そこで販売のノウハウをずいぶん学ばせてもらいました。当時、サトームセンは秋葉原に6店舗あって、私は駅から一番遠い店舗のパソコン売場にいたのですが、駅前の店舗にしか在庫がないパソコンを販売したり、新生活を始めるという新婚夫婦のお客様に対しては、パソコン以外にも冷蔵庫や洗濯機まで家電一式を販売して、入社1年目にして月の売上目標2千万円の2倍の4千万円販売しました。休憩室の壁に貼ってある個人別売上表は、他の人と同じ紙に収まらなくて僕専用のものを作ってもらいましたね。今でもお客様に喜んでもらえるのが自分の幸せだと感じていて、それが仕事の原点だと思っています。

その後、販売員の将来性に不安を感じるようになり、システム会社のプログラマーやパソコン修理の技術作業員を目指して転職したのですが、訪問先で新しいパソコンや周辺機器の販売してしまい、気がつくと営業にされていました。

—————セールスで成果を出し続けるって、すごいですね。

失敗・挫折も経験してますよ。会社の先輩と共同で立ち上げたホームページ制作会社は、東日本大震災の影響で資金繰りが上手くいかなくなり、もともと仲が良かったのに、お互いに相手へ不満を持つようになり、最終的に意見が合わずケンカ別れしました

その後、環境問題に興味を持ち始めて、中古パソコンのリユースを実施している会社に転職し仙台支社立ち上げを任されるのですが、その時の失敗・挫折の経験から自分にはビジネススキルが足りないと思い、グロービス仙台校の門をたたきました。東北地方での人脈を広げたいと思ったのもグロービスに入学した理由です。

 

ロジカルシンキングを学び、抽象化思考に立ち戻る

—————グロービスはいかがでしたか?

とにかく楽しかったです。グロービスでも、僕はあえてニッチなことをやっていました。1学年1,000人いるマンモス校ですから、これだけの数の人がいると知らない人も多いし、先生にも顔も名前も覚えてもらえません。覚えてもらうには勉強ができるか人と違ったことをして目立つかどちらかだと思って、頭の良い人にはできないバカの領域を自ら選らんで差別化を図ったんです。

グロービスに通い始めた当初は、僕は3Cとか4Pとかビジネスフレームワークをまったく知らなくて、それでも誰にも負けたくなくって「だじゃれ」や「あいうえお作文」で対抗してオリジナルフレームワークを作っていたんですよ。例えば、3M Companyのケースだったら「Money」「Manegement」「Mistake」とかMで始まる言葉を3つ集めて3Mというフレームワークを作るなど。授業では毎回だじゃれを使っていましたね。

 

—————だじゃれでフレームワークなんて、初めて聞きました!

僕は会社で「お前の言うことは熱意は伝わるが、抽象的でよくわからない」言われていたんですが、ロジカルシンキングを学んでからは「お前の言っていることは、もっともなんだけどムカつく」と言われるようになって、それ以来、専務が何も言いませんむになってしまってました。その時、ビジネスの世界では正論が通じない事があることに気がつき、抽象的の重要性を再認識したんです。例えばグルメリポーターの彦麻呂さんが使う「○○の宝石箱や〜」という表現って、想像力が働くじゃないですか。「布団が吹っ飛んだ」も一緒です。想像力が働き、いろんな解釈ができる。これが抽象的の魅力ですよね。

職場でも抽象的思考力が問われるケースがあって、例えば、来客があり「そこの自販機で水でも買ってきて」と言われて買いに行った時、水が自販機で売り切れだったとして、具体的思考だけだったら「水はありませんでした」と手ぶらで帰って終わりですけど、「何か飲み物が欲しい」というイシューを理解できていれば、お茶やコーヒーを買ってくることもできるし、冬場だったらお湯を沸かしてお茶を出した方が良いかもしれない。考えているだけでワクワクします。

 

—————なるほど、抽象的にして概念化する、ということですね。

ビジネスでは正解が無かったり、複数あることもあるので、答えは1つと決めつけずに抽象的に考えたり話したりすることは重要だと思うんです。それは実際に経験しないと分からないことで、グロービスで学んだ事をそのまま実践したのではなく、自分流に変換して試行錯誤した結果できるようになりました。現役のグロービス生には「正論は正しいとは限らない」「グロービスが正しいとは限らないよ」と言いたいですね。

グロービス生の“激レアさん”コミュニティで、「グロービスで教えてくれない大切なこと」というタイトルで、「抽象的思考法の鍛え方」とか、「激レアさんになる方法」とか、私の体験談を話したのですが、結構好評でしたよ。 

—————確かに面白そうですし「抽象化思考法」を教えてくれるところは無さそうですね。逆に、グロービスで学べたことは何だったんでしょうか? 

うーん…正直学べだことはあまりない、と言えばないんですよ。実際にやってみて痛い目に合わないと学べないタイプの人間で、グロービスに通う前と変わってないです。ただ、「考える」ことについては学びましたね。「悩む」と「考える」の違いは、わかるようになりました。

マイナス面ばかりを掘り下げてグルグル同じところで「悩む」のではなく、整理して解決策を模索するのが「考える」ことです。私はこう思います、なぜならこうだからです、と自分なりの結論を出すことができるようになりました。ケースを学ぶ時は、僕は「どちらが正解か」ではなく「どちらが少数派か」を常に考えていました。少数派に立つと反発してくる人が多いから自分にとって学びにつながるんじゃないか、と考えてあえて少数派を選んで答える。対峙して議論しなくちゃいけないから、説得するが大変でした。

 

ビジネススクールだから受験準備もビジネスのセオリーに従う

 

—————学費について、利用した制度はありましたか?

グロービス仙台校に入学していたので、東日本大震災関連の助成金や奨学金が使えたんですよ。ただ卒業3か月前に転勤で東京に戻ったので東北で働いていることが条件の奨学金だったので実際はもらえませんでしたが、入学を決める後押しにはなりました。

あと学費については、お金は結局、自分の両親に借りました。自分で事業をやっていた時に貯金は使ってしまいほとんど無かったですし、夫婦の家計費から学費を捻出するのも、家のローンも残っているし、妻は自分や子供のためにお金を使いたいこともあるだろうし、自分の親に頼るのは一番やりたくなかったのですが、夫婦円満の為に最終手段を使いました。そこまでしても行きたいと思ったし、年収も刺激しあえる仲間も増えたので後悔はしていないです。

 

—————受験にあたってどんな準備をされましたか?

グロービスに通っている先輩たち10人ぐらいに、とことんヒアリングしましたね。10人ぐらいに聞けば大体わかります。ネットでもいろいろ調べました。面接もあったので、誰が面接するのか・どんなことを聞かれるのかもヒアリングして、面接官になるだろうと想定される方にも実際に会いに行きました。

 

—————それはすごいですね。

いや、ビジネスの世界では当たり前じゃないですか。取引先を攻略するなら社長にまず会ってトップダウンで押さえて、現場も押さえて、当然のセオリーですよね。ビジネススクールなのでそれぐらいの根回しをしてもいいんじゃないかと考えました。その結果、奨学金も2人の内の1人に選ばれました。

 

—————在学中はどのように勉強時間を捻出されていたんでしょうか?

グロービスは、ビジネスとの両立で「苦労BIZ」でしたが、単身赴任中ということもあって、平日の朝と夜。移動中の新幹線など何とか時間をやりくりして勉強できたというところです。2年間で修了することを第一目標で考えていたので、机に向かって勉強しなければいけない科目だけでなく思考系の科目も含め、仕事と学びの時間のバランスを考えて授業を取っていました。

 

基礎を実践し試行錯誤する中で、見出したユーモア活用法

—————修了されて3年目になられるわけですが、大学院に行ったことによるご自身の変化をどのようにキャリアに活かしていらっしゃるか、これから活かそうと考えていることも含めて聞かせてください。

MBAで基礎を学んで、自分なりにいいところを取り入れてオリジナルを作る。「守破離」がとても重要だということがわかってきました。だじゃれも同じなんですよ。だじゃれは自己中心的でなく場をわきまえるという基礎があって、そこがオヤジギャグとの違いです。

グロービスに入学した当初からだじゃれを言ってきたのですが、ウケ狙いに走ってしまい先生に何度も怒られていました。そんな中、クラスメイトが「ピロタカって、ユーモアだよね」と言われたことがきっかけに、「お笑い」と「ユーモア」が違うことに気がつき、人の心を傷つけない「ユーモア」を磨いていきたいと思うようになりました。そして出会ったのが日本だじゃれ活用協会です。今は、だじゃれを言うことが目的ではなく手段としてだじゃれを活用し、時にはユーモアとしてオヤジギャグも使っています。現代は何が起こるか予測不可能な「VUCAな時代」。だじゃれで世の中をハッピーにして、「BAKAな時代」を作っていきたいと思っています。 

 

「激レアな自分」を際立たせる戦略と戦術を伝えたい

—————グロービスの「パワーと影響力」という授業で学んだことをかなり意識されているとお聞きしたのですが、詳しく教えていただけますか? 

僕は影響力の中でも特に「希少性」。あと「社会的証明」「権威」をすごく意識しています。よく「日本だじゃれ活用協会」が一般社団法人で法人化していることが驚かれるのですが、まさに「パワーと影響力」ですよね。「だじゃれの日」を記念日協会に登録したのも私のアイデアです。今ではTwitterの「今日は何の日」という情報がまとまったカレンダーに「だじゃれの日」が掲載されるようになり、日本だじゃれ活用協会のPRにつながっています。 

—————ブランディングにもつながってますね。

まさにそうです。「100万人に1人の存在になる方法」という藤原和博さんの本がありますが、日本の人口1億2千万人のうち日本だじゃれ活用協会認ファシリテーターは40人なので、僕はそれだけで300万人に1人の存在になるわけです。100万人に1人はオリンピックのメダリスト級らしく、だからこそいろいろな仕事につながるし、メディアからも声がかかるのだと思います。自分を認知してもらうこと。AIDMAは強く意識していて、名前も普通に本名の「中島弘隆」だと情報に埋もれちゃうから「中島ピロタカ」という芸名で活動する。ツッコミどころを作る事で、相手に強烈な印象を焼き付けているんです。 

みんな気づいていないと思いますが、こういうことはお金をかけずに簡単にできます。「バカな」と「なるほど」の戦略が私の武器です。これからは、自ら学び失敗して身につけた生きた情報をグロービスの仲間にも伝えていきたいと思っています。 

—————最後に、どんな人に大学院進学を勧めますか?

成長意欲がある人、失敗をたくさんしている人にオススメしたいです。若いうちから学んだほうが良いという意見もありますが、年齢は関係ないと思います。失敗した経験がないと聞いて終わり、実戦では活かせないと思います。

MBAは敷居が高いと思っている方、体験クラスやセミナーを通して、実際の学びを体験してみてください。 失敗には価値があります。スベっても滑り出し好調です。

—————自己PRの方法なども勉強になりました。ありがとうございました!

 

ラーニングコミュニティのお知らせ🐘

Elephant Careerでは、社会人大学院受験を応援するラーニングコミュニティ、えれキャリ+を運営しています。2ヶ月間の短期集中で、読書会をベースに入学後も役立つ自律的な学びをサポートします。

その他には、実務から芽生えた課題感やモヤモヤを研究計画書に仕立てるお手伝いや、キャリア棚卸しでなぜ今大学院が必要なのか、一緒に言語化していきます。ただ受験に合格するだけではなく、本質的にみなさんのキャリアにとって社会人大学院へのチャレンジがプラスになる伴走をしていきます。

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