今回は、社会人大学院への入学準備7ステップの番外編。「科目履修制度」です。この制度は、大学院に正規入学することなく、開講されている授業科目から興味のある科目を選択して受講できるものです。一科目から学べます。いきなりフルタイムで大学院に通うのはハードルが高いという人に、ぜひおすすめしたい制度です。
科目等履修生制度とは?
科目等履修生制度とは、前述の通り、興味のある大学院の授業科目を、入学することなく履修できる制度です。本科生と同じ授業を受けるため、1科目の期間は2〜4ヶ月が一般的。受講料も1単位当たり数万円程度の講座も多く、特定の分野に絞って集中的に学びたい人にはとてもメリットのある制度です!
ちなみに、受講した科目に関しては、本科生と同様に単位も取得できる授業も多いです。当然、学位の取得はできないものの、修得した単位は本科入学時に持ち込むことが可能(大学院によって条件あり)。そのため、志望している大学院が自分と本当に合っているかを入学前に検討したい方には、まずは科目等履修生としてその大学院と関わってみるという方法もあります。
例えば、どんな授業があるの?
科目等履修生制度は、全大学の約8割を占める535校の大学院で開設されているそうです(大学改革支援・学位授与機構調べ、2021年)。そのため、学ぶことができる領域も多岐に渡ります。
例えば、マーケティング、ファイナンス、リーダーシップ、デザイン、ITなど、ビジネスセミナーでよく取り上げられる分野についても、多くの大学が選りすぐりの科目を用意しています。セミナーや書籍を使った独学に行き詰まりを感じている方。専門知識を効率的に身に着けるルートとして、体系的にまとめられた大学院の科目を受講することを選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
科目等履修生制度のメリットは?
- 関心のある大学院の理解を深めた上で、入学を検討できる
- 本科生と同じ科目を受けられるため、特定分野を体系的に学べる
- 単位を取得できる
- 図書館などの大学施設を利用できる(こともある)
Elephant Careerでは「先輩インタビュー」を通じてさまざまな大学院で学ぶ「先輩たち」を紹介しています。ご覧いただいた方のなかには、「こんな大学院で学んでみたい」と興味を持った方もいらっしゃるかもしれません。
とはいえ、繰り返しになりますが、いきなりフルタイムの学生になるのは経済的にも時間的にも一定のハードルがあるのは事実。進学を自分事に思えない方もいることでしょう。しかし、もし興味が少しでもあるのなら、そこで諦めてしまうのはもったいない。本制度は「社会人大学院になんとなく興味を持っている」人にこそ活用メリットがあると考えます。経済的および時間的な制約を最小限にとどめながら、大学院に進学した未来をのぞき見ることができるのです。
そのうえで、実際に本科生と同じ授業を受けることができるのも魅力のひとつ。授業の形式によってはグループディスカッションなど、他の生徒との交流の機会もあります。大学院の雰囲気を肌感覚で掴めるメリットがあることは前述の通りですが、特定の分野を体系的に深く学べるだけでも十分大きな価値があると言えるでしょう。
本制度を利用したうえで本科生として正規入学をする場合に、単位の修得ができる点も見過ごせないのは先に書いた通りですが、その他のメリットして、学校によっては図書館や自習室といった大学施設の利用が認められることも。学費の負担は限定的でありながら、本科生のような学生生活を送ることが可能です。こういった一つひとつも、入学後のイメージをより具体的にするのに貴重な判断材料になるかもしれませんね。
履修までのフローは?
受講したい科目を見つけたら、まずは出願資格を有しているか確認しましょう。大学院の科目等履修生となる場合、「大学を卒業した者」というように正規入学と同様の要件があることが多いです。研究科によっては専門の知識を有していることや、特定の科目を履修済みであることが条件になっているケースも存在するため、注意が必要です。
出願には、
- 願書
- 履修希望科目申請書
- 卒業証明書、成績証明書
- 職務経歴書
- 志望動機を記した書類
などの提出が求められるため、前もって必要書類を調べたうえで余裕をもって準備を進めていきましょう。選考は書類審査のみで行うケースが一般的ですが、通過者に面接や筆記試験を行う学校もあります。各科目の入試内容についても同様にチェックしておきましょう。
今回は意外と知られていない「科目等履修生制度」について、番外編としてご紹介しました。大学院で学ぶという選択肢を「私には関係ない」としていた方も「この制度を使えば案外できるかもしれない」と思われたかもしれません。負担を最小限にしながら、本格的な学びをスモールスタートで。本制度に興味を持った方は、ご自身の関心のある分野ではどんな科目があるのか調べることから、ぜひ始めてみてください。