志望校が決まったら少しずつ入試のための勉強に取り組みたいもの。社会人大学院への入学準備7ステップの第5弾では、試験内容ごとにどんな対策をすればいいのか、合格への効率良い勉強法も含めてご紹介します。
ツボを押さえて効率よく
忙しい社会人は勉強時間が取りにくいため、余裕を持って準備を始めるに越したことはありません。春入試の場合、7月頃に前年度の入試問題を公開する大学院もあるため、出題形式や傾向・難易度・小論文のテーマを確認しましょう。
入試問題を見るとモチベーションが上がる人がいる反面、気が重くなる人もいますよね。でもそんなに心配することはありません。自分の得意不得意を見極めて効率よく勉強して準備すれば、高いと感じていたハードルも下がってきます。
「問われること」と「準備すること」
以下の表に、書類審査や試験で問われることとその対策についてまとめました。
専門科目の筆記試験や外国語の試験は課さない大学院が多いため、多くの人は研究計画書や志望理由書・小論文・面接の準備をすればOKです。
見ておわかりのように、大学院側はロジカルな思考力と表現力・学びへの真剣度・実務の現場や社会に貢献する意志を重視します。知識に多少欠落しているところがあったとしても、意欲さえあれば入学後に自分なりに勉強しながら補っていくことができるからでしょう。むしろ、わからないことがあったり授業についていくのが大変だと感じたりした時に、諦めずに食らいついていくだけの真剣さがあるかどうか試されていると考えたほうが良いかもしれません。
研究計画書・志望理由書は端的に
一部の大学院では「エッセイ」「調書」などと呼ばれます。研究計画書と志望理由書がひとつのフォーマットにまとまっている場合もあり、大学院ごとにスタイルは異なりますが書く内容はほぼ同じです。文字数が決まっているため、わかりやすく論点を整理してまとめましょう。
研究計画書については、現時点で考えていることをまとめればOK。入学後に学びながら詳細を詰めていきますし、その過程で方向修正する可能性も十分あるからです。ただし、誰もが考えるような漠然としたテーマでなく、自分の業務やキャリアに根付く問題意識から導き出されたものか、しっかり考察することが大切です。
また、余裕があれば先行研究をある程度読んで文章内に取り入れましょう。先行研究を探すには、専門書を読む・専門書に記されている参考文献を検索で調べる・CiNii(国立情報学研究所の学術情報データベース。国内の論文検索サイト)を利用するなどの方法があります。
研究計画書のまとめ方
志望理由書は、なぜ他の大学院でなくこの大学院を選んだのかが明確にわかることがポイント。学びたい内容や研究したいことがはっきりしていれば、迷わず書けるはずです。いずれも入試対策本や予備校講座などで合格例が公開されていますので、参考にしながら自分の言葉でまとめていきましょう。
志望理由書のまとめ方
小論文は添削者の協力を
与えられた課題に「自分ならどう考えるか」を問われるのが小論文です。文字数が決まっていますので、その中でしっかり構成を組み立てなければなりません。また、時間内に指定の文字数の範囲内で完成させることも重要です。
下の構成例のように、一貫性を持ってロジカルな文章を書くためにはある程度の「慣れ」が必要。自分でロジカルに書いたつもりでも、読み手にとってわかりにくい文章であれば何の意味もありませんから、誰かに添削してもらいながら壁打ちを繰り返すのが理想的なのです。
小論文の構成
身の回りに教師や文章のプロフェッショナルがいれば、一度読んでもらってアドバイスをもらいましょう。小論文のみの単科講座を予備校で受けるのも、おすすめです。
小論文添削を仕事として受けるフリーランスワーカーも存在しますので、CrowdWorksやランサーズなどでチェックしてみましょう。時給単位や1本毎に比較的安い金額で引き受けてくれるので、費用面でも助かります。
最後に忘れてはいけないのが、「試験の小論文は手書きである」ということ。PCでドキュメントを作るのとは違い、スピーディーに文章の前後を入れ替えたりコピペしたり漢字変換したりできるわけではありません。絶対に手書きで練習を重ねてください!
研究計画書の内容を頭に叩き込み面接へ
面接で質問されることは、今までのキャリアや進学動機・志望理由などオーソドックスな内容。志望理由書や研究計画書で書いた内容をしっかり頭に入れて、想定される質問に論理的に答えられれば良いのです。
時には「XXを研究したいなら、別の大学院の○○教授の下で勉強したほうがいいかもしれないと思わなかった?」など、ちょっと意地悪な質問をされることもあります。軽い「圧迫面接」ですね。そんな時も慌てず、しっかり自分なりに答えましょう。
今回は、入試対策について概要を紹介しました。大学院に進学した先輩や友人がいる方はぜひ、どんな対策をしたか聞いてみましょう。直接の知り合いに大学院入試経験者がいなくても、SNSなど様々なネットワークを活かして探しましょう。そんな積極性が、きっと将来に役立つはずです。