あなたに出会って一歩前進できた!と言われる人生に 名古屋商科大学MBA



働きながら学ぶ人を紹介する「先輩インタビュー」
今回は名古屋商科大を修了した金藤さんです。



金藤 美樹穂さん

リクルートグループにて、転職・婚活・結婚などの、女性のライフイベント領域にて、主に新規事業立上げと拡大に従事。エグゼクティブMBA取得

妊娠中にリクルート退職、フェムテックベンチャーにて代表取締役に就任。自身も重度生理痛によるピル長期服用や不妊治療の経験から、妊活・不妊領域のプロダクトを取り扱う。

事業売却による退任後、女性のキャリアと妊活を含むプライベートについて「諦めなくていい、頑張りすぎなくていい」をモットーに、自分らしく自然体で欲張った人生を歩む女性が増えることを願い会社設立。フェムテックやウェルネス領域にて様々な企業の新規事業に参画している。

プライベートでは1歳児を育児しながら、学びを深めるコミュニティ、哲学カフェ、親子イベントを主催、心理学に関する研究学会発表など様々な活動を行う。趣味は、水墨画、サルサダンスと、和洋・静動の様々な側面を楽しみながら生きている。

名古屋商科大学:MBA
入学年月日(年齢):2018年9月(31歳)
修了年月日(年齢):2020年8月(33歳)

大人になれば事業を興すものという環境に育つ

————まずは、金藤さんのご経歴などを伺えますか?

関西の出身で、関西学院大学の商学部を出ています。
実家は、父が起業して会社経営をし、母もその会社で働いてるので、家の中にサラリーマンがいないんです。「美樹穂もいつか自分で何かやるんでしょう?」という空気感の中で育ち、自然と「新規事業は自分でやるもの」とインプットされていたのだと思います。

新卒で人材輩出企業と言われるリクルートに入社しました。男女関係なく早いうちから裁量を任せてもらえることもあり、入社後は「新規事業をやりたい!」と言い続け、まずは「リクナビ薬剤師」という転職支援サービスの立ち上げに、その後は「ゼクシィ縁結びエージェント」という結婚相談所の立ち上げに加わりました。

2つのサービスにおいて、事業をゼロイチで立ち上げ切る経験をさせてもらいました。リクルートでは新規事業を始めても消えていくものが多い中で、どちらも今もちゃんとサービスとして残っているものに関われていたんですね。

1人の経験を元にしたマネジメントに限界が見えた。網羅性を求めてMBAへ。

MBAに通ったのは、このゼクシィ縁結びエージェントに携わっていた時期でした。それまではマネージャーとして6人ぐらいを見ていましたが、昇格して一気に50人のマネジメントを任されることになったんです。直属の部下として4人のマネージャーが配置され、北海道から東京までの各拠点にいるスタッフを間接的に50人見るというフォーメーションです。

1人1人といかに短い時間で質の高いコミュニケーションを取り、彼女たちの視座を上げ、スキルだけでなくマインドも変えて成長につなげたいと思い、まずコーチングを学びました。自分自身の内面と向き合うことも増え、セルフマネジメント力が各段に上がったと実感しました。物事の捉え方の多様性が見えるようになってきたんです。

会社から求められたのは、直属のマネージャーたちが自身で担当領域の戦略・戦術を立て実行できるよう育てることでした。自分の今までの経験値だけでは領域が狭く、網羅性が必要だと感じ、ビジネスとして学び直そうとMBAへの入学を決めました。



————ご自身だけの経験に基づいたマネジメントでは狭いと判断されたのは、やはり6人から50人へマネジメント規模が拡張し、それを実感されたということでしょうか?

そうですね。1つの経験から学べることは多いのですが、1人が経験できることには限界があるし網羅性に欠けると思います。人物のタイプもありますし、私のやってきたことが、他の人に同じような効果を発揮する保証もない。自分のやり方だけを押し付ける上司にはなりたくないなと思ったんです。

自分の中での限界値もありました。物事を効率よく思考するための昔からあるフレームワークなど、きちんとした知識を得てからでないと、戦略・戦術を語れないと考えたところはあります。

その時のミッションが「自分の部下たち(マネージャー)に戦略・戦術を立てて実行できるようにせよ」だったのは大きいかもしれないです。単純に「サービスを立ち上げろ」だったら、戦略・戦術云々という方向に展開していかなかったかもしれません。

6人を見ていただけではこの思考にはならなかったでしょうね。

女性に気付きをもたらすビジネスに

————2018年9月に入学されて、2年で卒業されたのですよね。

MBAを取得し、その後のキャリアを考えていたときに、MBAの友人から、株式会社F Treatmentという会社が代表に就いてくれる人を探している、きっと指向性もあっていると思うよ、と話をもってきてくれたんです。話を聞いて「それは面白そう!」と私も思ったので、リクルートを退職し、代表取締役に就任することが決まりました。

その後、事業譲渡により退任し、2022年7月に自分の会社を設立する予定で、現在準備中です。(インタビュー時は2022年6月)。

私はもともと生理痛がひどく、大学の時からピルを15年ぐらい服用していたんです。今でこそピルは割と市民権を得ていますが、当時はあまり飲んでいる人はいなかったですね。

当時はリクルートでバリバリ働き、仕事優先な部分もありましたが、いよいよ年齢を考えて妊活をしなければと思い、不妊治療にも通い第一子を授かりました。しかし、1か月半も早く生まれる早産により低体重児で生まれたため、約1か月新生児集中治療室(NICU)に入院。帝王切開での出産時に、お腹を開いたら子宮内膜症があることも判明しました。

代表取締役に就きながらの出産だったため、産前0日・産後2ヶ月休暇を建前上は取得しましたが、病院のベッドの上で銀行と融資の電話を普通にしていました(笑)


————つ、強い...。

フェムテックの会社ということもあり、女性ホルモンバランスプランナー・妊活マイスターといった資格を取得していたんですね。産んでもすぐに働かなくてはと思い、それまでに得た知識を元に自分自身の体のセルフケアを始めました。

それによって自分自身のパフォーマンスが圧倒的に上がるんです。というか、下がる要素を減らせる。例えばPMSや生理痛など。あとは産前産後のホルモンの変化による気分の上下感を極力平坦に保てるなど、セルフケアの効果を実感しました。

多くの女性が、自分が仕事もプライベートもいきいきと過ごしていくには、自分自身の体と向き合い適切なセルフケアや医療をうまく使っていくのが最低限必須だと感じました。そういったことをF Treatment時代から様々なメディアで発信させていただいています。

ぬるいのは合わない。どうせやるなら厳しいところで!

————大学院の必要性を感じたあと、単科ではなくいきなり本科を受けようと思われたのでしょうか?

そうなんです。グロービスと名古屋商科大学(以下、「NUCB」とする。)と2校見学に行ったんですけど、NUCBにした理由は、「一番厳しそうだったから」なんです。グロービスの見学へ行った時に「ほとんどの人は単科から入られていて、いきなり2年間本科に入っちゃうと厳しいです」という感じの説明でした。

私は「やるんだったら短期で集中してやりたい!」タイプ。単科からおためしのルートを勧めて下さるグロービスよりは、いきなり本科で、しかも評価にも厳しさの窺えるNUCBが向いているように感じました

どうせやるんだったらそういう環境で2年間って区切ってその中でやってしまいたかったんです。


————グロービスの優しさがむしろ合わなかったんですね(笑)。名古屋商科大学を選んだのは、国内MBAではトップという評価の高さからですか?

評価の高さもありますし、また土日で行けることもポイントでした。当時はリクルートの仕事が平日忙しく、土日の方が動けたので。開講曜日という要素も大きかったです。さらに、ケーススタディによる学習に特化している点が、実務におけるスキルを上げたいと考えていた私には実践的であっていると思いました。そして東京駅近という立地の良さですね。


————受験準備については具体的にどんなことをされましたか?

受験準備は特に何もしてなかったです。

行こうと思ったのが、9月入学のAO入試しかないという最後のタイミングだったんですよ。そこに滑り込もうと思い、ゆっくり準備する時間が一切ない中で、書類をうわー---って書いて、面接行っていう感じでした。提出書類の準備と面接だけでしたね。

なぜMBAで学びたいのか、学んでそれを取得した後どうしたいのかはもちろん問われます。自分の中でしっかりと棚卸して、説明できるようにしておきました。時間がなかったこともあり、そこまで準備はしなかったです。強いて言うなら、グロービスとNUCBの見学にそれぞれ行ったことですかね。



————行こう!と思った時の会社への説得説明。あとパートナーの方のへの説明で大変だった部分はありますか?

特にありません。会社には事後報告で伝えました。授業が土日だったので、平日は通常通り仕事ができました。学校によっては平日授業だと残業せずに帰るなど周りの協力も必要かもしれませんが、私の場合は大丈夫でした。

夫も、まだ子供がいなかったこともありますし、「やりたいことはやれば」というスタンスの人で、私のやりたいことを応援して温かく見守ってくれました。


————在学中の過ごし方について教えてください。

会社に行く前に1〜2時間早く家を出て、駅前のカフェでケースを読んで、夜帰ってきてから課題を作る、という感じです。とはいえ、日曜日に授業が終わるので、月火はゆっくりしてしまい、水曜日になって「やばい!」とエンジンがかかって金曜日は深夜3時か4時ぐらいまで準備をして、少し寝てから行く。といった感じの1週間のサイクルでした。

サードプレイスの心地よさとフラットな視点が自分の強みを際立たせる

————大学院での一番の学びについてお話いただいてもいいでしょうか?行ってよかったことを教えて欲しいです。

同じクラスには性別・年齢・業種が異なり、会社の中では役職付きという人たちが多かったんです。その中で私は下から2番目ぐらいの年齢。学校以外の場所で会っていたら萎縮してしまうような人たちと、全く利害関係なく同じフィールドでディスカッションすることで、少しづつ自信がもてるようになってきました。

業界知識や経験値などが豊富な方が多いのですが、それらを取っ払って、1人の人間としてディスカッションするなら通用すると思えた。私にとってこれは転換点でした。

クラスの人たちの価値観や考え方や指向性が見えた時、自分の強みがすごく際立ったと感じたんです。同じように弱みも。今まではリクルートという同質化された環境の中ではそこを浮き彫りにすることはできなかった。

それが、自分の強みや得意苦手なことがフラットな中で見えたのが、今まで抱いていた恐怖感を取っ払う初期のきっかけになったのは大きかったです。


————まさに越境学習の効果ですね。

卒業課題としてケースを書くのですが、私は「MBA卒業後5年ぐらい経った人たちが今どう過ごしているのかを well-being の観点で紐解く」というケースにしたんです。

フランスのINSEADでも、MBAを卒業して10年経った人たちにインタビューしてる先生がいるんです。トップMBAを卒業した超優秀な人たちが、MBAを取ったから幸せになっているわけでもなく、仕事だけが人生の幸せでもないと気づいたり、気づき始めてる人たちがいると問いかけるケースなんです。

私も同じ「問い」に興味を持ち、ケースのテーマを決めました。MBAを単純に知識を得るものとして過ごしてる人は、その後の価値観に変化が見られず、あまり伸びを感じられない。その一方で、MBAをサードプレイスとして2年間向き合えている人は、卒業後のキャリアや生き方が変わっている。自分の生きる道はこれだと腹落ちして、楽しく仕事をして人生も輝いている話が聞けたんです。

この取り組みを通して、私自身もそういったことと向き合えたので、F Treatmentへの転職や、独立しようと思えたことに繋がっているなと思います。


————今後のご自身のキャリアイメージとしては、まさに起業だと思いますが、その先のやりたいことやミッションといったものは、何かイメージされていますか?

私、自分が老衰で死んでいくベッドの周りに、「あの時話せたことで一歩前進できました」と思ってくれる人たちに囲まれて死ぬという最期の理想イメージがあるんです(笑)

これまで、私の手の届く範囲で未来を予見して、先んじて手を打つということをやってきて、それで救われた実体験もあると思っています。それに気づく/気づかないが環境に起因してしまい、なかなか自分自身では気づけないことも多い。

そういった、ちょっとした気づきになるようなことを色んな人に伝えたり、広めたりしていきたいんです。

私自身のキャリアが「転職屋」「婚活屋」「結婚式屋」「フェムテック屋」という感じで、女性の人生の節目のサービスに関わってきているんですよね。この次私が起業する会社も、27~8歳の女性向けのキャリアやライフ気づきや知識を伝えていくようなことを、人生の生業としてやっていきたいと思っています。


————どんな人に進学を勧めるかをお聞きしたいです。

明確な課題があるわけではないけれど、なんだかキャリアに対してモヤモヤするなっていうタイミングが誰しもあると思うんです。そういうときに、越境学習は圧倒的に効果があると思うので「環境を変えてみる」という感じで行かれてみるのはすごく気づきが多いんじゃないかなと思います。

ただ、ふわっとした理由だけで行くにはかなりハードで気持ちも続かないと思います。自分なりの動機、モチベーションを維持するため目標・目的がないとしんどいかもしれません。

大変な分、得られるものも大きく、特にNUCBのケーススタディは2年間自分とがっつり向き合えるので、本当にオススメですね!

————実際にF Treatmentの社長となって大学院での学びが役に立ったと思われますか?MBAとの相関性はどうなのか興味あります!

いい質問ですね!行っててよかったです!

リクルートではファイナンス系を一切やっていなかったので、自分でも苦手意識がありました。ところが社長になってみたら、銀行融資・VCからの資金調達・M&Aが主な仕事だったので、がっつりファイナンスだったわけです。

授業で一通りさらっとかじっていたことと、あと当時授業で課題図書として買って一切読んでいなかった本を、その当時読み漁ってたんですよ。「これめっちゃいい本だったな」みたいな(笑)。その時私が知りたいことが全部書いてありました。

あとは、M&Aのアドバイザリーも大学院の友達経由で頼んだり。知識面と人脈面とを併せて本当に助かったって思いました。

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