大学院は非連続の成長ができる場所。得た学びを仕事に活かす方法 グロービス経営大学院

働きながら学ぶ人を紹介する「先輩インタビュー」
今回は、グロービス経営大学院を修了された増子 甲太郎さんです。

大学在学中は、数学の研究とバレーボールに打ち込んだ増子さん。その後営業職に進み、営業推進に異動したことがきっかけで、グロービスの経営大学院に入学します。グロービスでの学びや増子さんにとっての大学院という場所についてお話を伺いました。

 

増子 甲太郎さん

北海道大学卒業。中小企業の営業職として1台7,000万円〜1億円の環境リサイクル機械の販売に従事。異動後は取締役営業部長の部下となるが、取締役との視座の違いを実感しグロービス経営大学院に入学。現在はグロービスの学びを活かしながら新製品担当として日々奮闘しています。

卒業・修了した大学・大学院:グロービス経営大学院
入学年月(年齢):2021年4月(37歳)
修了年月(年齢):2023年3月(39歳)

バレーボールを通して浮き彫りになった自分のコンプレックス

————まずは増子さんの経歴を大学からお伺いできますか?

はい、北海道大学で数学を学んでいました。紙とペンだけで学ぶ学問ですね。

 

————増子さんは、北海道出身ですか?

いえ、横浜出身です。高校までずっと横浜で、結構過保護な環境でした。ずっと実家で暮らしていたら駄目になると思って、一人暮らしをしたいと考え始めました。私立の実家暮らしと国立の一人暮らしは、大体金額が同じです。であれば国立に進んで、一人暮らしを認めてもらおうと思いました。両親が納得する大学がいいかなと考え、北海道大学に進んだという感じですね。

 

————在学中は、数学以外に何かしていましたか?

バレーボールもしていました。僕よりうまい選手も多くいたのですが、そのうちの一人は僕の成長スピードよりも明らかに速く成長していたんです。僕は別に手抜いてるわけでもないし、もちろん一生懸命練習していて、練習のない日は筋トレや自主練をしていました。しかし、自分よりもうまい選手が自分よりも早く成長していく姿を目の当たりにしていました。そうなると「なんでだろう」と疑問に思うようになります。

あるとき彼と話したタイミングで聞いてみたところ、「考えて練習しないと駄目だよ」と言われました。そっか、僕は一生懸命練習しているけれど、あまり考えていないのかもしれないと気が付きましたね。もちろん別に思考が止まっているわけではないのですが、考えて練習しないと本当に駄目だと痛感しました。そのまま仕事でもきちんと考えられるようになりたいと、ある種コンプレックスみたいなものを抱えるようになります。

 

————そのコンプレックスがだんだん膨らんでいったんですね。

一生懸命しているのに差がつくのはなんでだろうって思います。自分で考えなきゃと気がついたときに、何をどう考えていいのかさっぱり分かりませんでした。学校教育の中で、覚えることは学びましたが、考え方が分からないという壁にぶち当たりました。

 

————数学とか勉強している方は得意な気がしますが、苦手な方も中にはいるんですね。自分で証明することや考えることは、むしろ日々実践している人たちなのかと思っていました。

解き方を当てはめることはできます。しかし何が原因で、どのように対策すればいいのか考える方法がよく分かりませんでした。

 

進学のきっかけは経営層との視座の違い

————ありがとうございます。大学時代に自分のコンプレックスに気づき、どのような職種を選ばれたんですか?

中小企業にて、営業をする仕事に就きました。僕は、営業か技術かで志望を出していましたが、会社側から営業の方を任されました。後から振り返って営業職に就けてよかったなと思っています。とくに、上司に恵まれたなと思っています。「課長どうしましょうか?」って持ってくと、お前の意見や考えを持って来いというタイプの人でした。「どうしましょうか」と質問すると非常に怒られます。そのため自然に考えるようになりました。まさにコンプレックスに感じていたところを指摘してもらえたことが良かったのかなと思いました。

 

————営業職のときにグロービスへの進学を決めたのですか?

いえ、営業推進に移ってからです。異動した後は取締役兼営業部長の部下になりました。上司が取締役になって、やはり見ている視座の違いに気づきます。今までいち営業マンで課長の目線ぐらいまでは想像していました。しかし、取締役や経営層の視座は高く、見ている時間軸も非常に長いです。上司は親切丁寧に説明してくれるんですけれど、背景まで理解しないと意味が分かりません。そのため、勉強が必要だと考えグロービスに通い始めました。

 

————最初からグロービス一択でしたか?

そうですね。元々グロービスを知っていたんです。また、クリティカルシンキングという入門編の体験講座を受けたことも大きいです。結構、衝撃を受けました。講師はもちろんすごい方だったのですが、体験会に来てた人のレベルが高かったのを覚えています。それでグロービスの単科生に申し込んで、その後本科に行く流れでした。

 

仕事に活かせたグロービスの学び

————グロービスで得られた最大の学びを教えてください。

新規製品を担当していることも影響していますが、創造系科目の学びが非常に役立っているなと思います。現在、スイスの会社が作った機械を輸入して国内に販売する業務を担当しています。グロービスでベンチャー系のクラスを取ったときに、誰の課題を解決しているのか言語化することを習いました。

自分が販売している新製品は、誰の何の課題を解決しているんだろうという言語化をしっかりできるようになりました。課題の言語化ができていると、方向性を考えるときもあまりブレません。「この課題を持っているお客さんだから、今この機械が刺さっているのであって、そちらはわかんないな」とか、「そこの課題を抱えているお客さんは、別にもいるかもしれない」みたいに考えたり打合せをしたりできるので役立っています。

学びを活かすうえで気を付けているのは、会社の文脈に沿って話すことです。グロービスで学んだ言葉や概念をそのまま伝えても、社内の思考パターンはそうなってはいないので伝わりません。学びを自社の言葉や文脈に変換して、相手が受け取りやすい形に変えることで初めて価値を生むことができると実感していますし、これからも気を付けていきたいです。

 

————なるほど。新製品のマーケティングにも活かされていますか?

はい、プロダクトが売れ出したら、次はオペレーションとマネジメントという新しいボトルネックが生まれるということをクラスで学びました。仕事が忙しくなればなるほどオペレーションのシステムをきちんとしないと、現場はただ疲弊してしまいます。またマネジメントの面でも、人の配置や正しい評価を自分がされてないとなったら不満が募ります。

これを新製品に当てはめたときにどのようになるのか考えました。現在、商品説明などは全て自分が担当しているので、このままでは手が回らなくなります。そのため、ひと目で分かる説明動画や資料の作成が必要だと思いましたね。同様に問い合わせに関しても、このまま行くと必ず山場がくると理解できるようになりました。クラスを受ける前まではあまり見えていなかった部分です。

さらに認知を取って、問い合わせをしてもらうマーケティングの部分と、リピート受注や継続利用をしてもらうカスタマーサクセスの部分も学びました。とくにマーケティングの大切さを知りました。現在の仕事のボトルネックになる箇所を方向感覚を持って見られることが、学びになって実務に活かせていると思っています。

 

————他にグロービスで学んだことはありますか?

グロービスは、自分という人間をかなり深堀ります。自分がよく知れたのは、よかったと思います。クラスだけじゃなくて、いろいろなグループワークをしたり、グループワークの中のフィードバックだったりを通して深く知れました。グロービスの仲間からは「自由だね」と言われます。

とあるクラスのグループワークで「この日からこの日までシンガポール出張です」と伝えていたことがありました。帰国日当日にグロービスの仲間がやっているfacebookを見ると、餃子パーティーに参加している僕が写っています。「あれ、増子さんシンガポールから帰ってきて、栃木の餃子パーティーに行っている」となって「自由すぎない?(笑)」と仲間から言われました。他にも僕の行動の端々から、自由人であることを感じ取っていたみたいです。言われてみれば「自分は好き勝手やらせてもらわないと駄目なんだな」と僕が大切にしている価値観を改めて認識できました。

 

————自分のことを深く知るきっかけになったんですね。

そうですね。悲しいですが僕は共感性がないことが分かりました。あまり初対面の人に言われないんですけれど、少し関係性を築くとすぐ分かるみたいです。あるときチームビルディングの一環として、ストレングスファインダーをしました。34個の資質に分類されるのですが、共感性の項目が33番目に来ていました。まったく共感性がないことが分かったんです。

 

————ここでいう共感性は、他者に自分が共感するってことですか?

そうです。しかし、子どもの頃小学生とかを振り返るとあの人の気持ち考えなさいってすごい怒られていました。そのようなこと言われたって分からないとずっと思っていました。コミュニケーションは9番目とか上の方にあるので、人と関わるときはコミュニケーションでカバーしている気がします。

 

————なんだか不思議ですね。コミュニケーションはあっても共感性がない。共感性は、コミュニケーションの中に入っているものかと思っていました。

自分の経験を通して感じる気持ちは分かります。しかし他の人、とくに女性と比べると心の機微まではあまり把握していないなと思いますね。結構、ゴーイングマイウェイでいっちゃったりします。今は仲がいいんですけれど、グロービスの友達に怒られたこともありました。ただ共感性がないんだと分かったときに、なんか少し気が楽になりましたね。

 

————他に自分の特性は分かりましたか?

他に分かったことは、グループワークとかでリーダーをするタイプではないことです。リーダーをしない方が自分自身も価値を出せますし、チームとしても成果が出ることが分かりました。僕は自由な方がいいし、共感性がありません。チームを引っ張るというよりかは、チームの一員になって「これはどうですか?」と言っている方が、個人としてもチームとしても価値を出せたと感じることが多かったです。こういう形で自分を知れたのがよかったかなと、学びになったなと思います。

 

グロービスを通して得られた現在の仕事に通ずるキャリアビジョン

————あと半年後にはグロービスを修了されるそうですが、卒業後の目標とかはありますか?

そうですね。キャリアとしては、新製品を年間40台ぐらい売って1億円を目指したいなと思っています。3年で達成したいです。マーケとカスタマーサクセスがおそらくボトルネックになるので、同時並行で対策しないといけないですね。

 

————新製品に力を入れたいと考えているんですね。

僕の会社は、現場の技術を持っている人間がすごい重宝されて上の立場になります。対して僕は、現場の知識はほとんどありません。僕が会社に貢献できる部分は限定的なのではと思い、モチベーションが下がっていた時期もあります。

しかし新製品の担当になって、仕事が非常に面白くなってきました。今の新製品は現場の技術が必要ありません。しかもスイス製でシンガポールに拠点があるんです。そのため、英語でやり取りする必要があります。僕の会社で英語ができる人は、全体の10%以下ぐらいです。僕はペラペラ話せるわけではないのですが、片言の英語で対応できます。知識は無くても対応でき、英語でコミュニケーションを取って、1人で営業できるポジションが獲得できて楽しいですね。新製品担当の仕事は会社と僕がフィットしていて、しかもそこにグロービスの学びも入れることができて本当に楽しいです。

 

————キャリアビジョンはどのように描いていますか?

キャリアビジョンも新製品のことだけ考えています。新製品を1人で売れる人間になりたいなと思っていますね。マーケティング・セールスアプローチ・カスタマーサクセスの3つを1人で英語でやり取りしながら対応できる人を目指しています。そうしたら、最悪食いっぱぐれはしないだろうなと思っています。

 

大学院は非連続の成長ができる場所

————増子さんにとって、大学院はどのような場所ですか?

そうですね。多分、非連続の成長ができる場所ではないかと思うんです。連続的に伸びるのではなく、ぴょんと飛ぶ感じです。

 

————実際に会社でも成長を感じた場面はありましたか?

グロービスに来て、いつの間にか当たり前になっていたんですけれど、以前よりも会社目線で物を見るようになってきましたね。この前、新入社員のフォローアップ面談をしたときも、新入社員から時期によって帰れる時間帯が違うと相談されました。その際にも、黒板を使って繁忙期と閑散期があったとしたら、会社って繁忙期に対応できる量の人材を持たないことを図で見せて、不足分は残業で補っているんだよと説明しました。

それを踏まえて考えるべきなのは、作業の平準化や、余剰人材がいるのなら足りない部分に持ってくるような調整だったり、業務配分だったりだと話しましたね。こういうことを自然と考えられている気がします。グロービスには、すごい経営層が来たりしていますから、普通に話していた人が非常に有名な会社の役員だったということもあります。

 

グロービスは課題感や危機感を持っている人におすすめ

————グロービスは、どのような方が向いていると思いますか?

そうですね。仕事で課題感・危機感を持っている人は合うと思います。課題感を持っていると取りたいクラスが明確になりますし、実務へのヒントをクラス中にひらめくことが多々あります。学びを実務で活かして成果につなげる、するとグロービスの学びもさらに楽しくなる、というサイクルが回ります。

ただMBAは結構独特な学び方です。代表的なものはケーススタディですが、あまりやったことない人が多いのではないかなと思います。グロービスには単科制度というものがあるので、1回受けてみるといいと思います。できればリアルクラスに行って、飲み会まで参加して合うかどうかを見極めるのがおすすめです。

 

————2年間ありますからね。グロービスが合わないと分かってからでは遅いですよね。

はい。グロービスは単科生として単位の持ち込みをしないと、2年間で36単位取る必要があります。単科生は最大12単位取れる仕組みになっています。先に単科生として受講しておくと、残り24単位を取ればいいようになるんですね。これが学生生活に与える影響はかなり大きくて、単科で先に12単位取っておくと毎期2コマ取れば修了できます。しかし本科のみで取ろうとすると、毎期3〜4コマになってしまい忙しくなります。3年分を2年で学ぶ必要があるので、じっくり学ぶのであれば、単科を先に取るのがおすすめです。

 

————本日は、貴重なお話をありがとうございました!非常に面白かったです。

 

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