社会人大学院の経験談を紹介する「先輩インタビュー」
今回は、立教大学大学院経営学研究科経営学専攻リーダーシップ開発コース(LDC)在学中の能間 靖子さんです。
航空業界で活躍されるかたわら、2児の母として育児をしながら学ぶ能間さん。個人へのキャリアカウンセリングから組織開発へと視野を広げ、新たなキャリアを見据えて挑戦を続ける彼女に、大学院での学びについて伺いました。
幼い頃から航空関係に憧れを抱き、ブライダル業界、グランドスタッフとしてキャリアを積んだのち、日経航空会社でCAとして13年ほど勤務。産休・育休を経てコロナ禍に復職する頃にキャリアカウンセラーの資格を取得。カウンセリング活動の中で新たな気づきや疑問を解消すべく勤務される傍ら、大学院への進学を決意。
在学中の大学・大学院: 立教大学大学院経営学研究科経営学専攻リーダーシップ開発コース(LDC)
入学年月(年齢):2024年4月
修了年月(年齢):2026年3月
今日は社会人大学院を目指す方々に向けて、貴重な経験をぜひシェアしていただきたいと思います。
●決意と後押しが夢を叶える
——— まずは能間さんの経歴についてお聞かせください。航空業界を目指されたきっかけは?
中学生の時にさかのぼるんです。父と福岡空港にドライブに行った時、飛び立つ飛行機を見て「私の職場はあそこだ」と強く感じたんです。それから本当に取り憑かれたように、航空業界で働くことを目指すようになりました。
——— 一瞬で将来が決まったんですね!その後はどのように?
8歳上の姉の影響で、大学は経営学部に進学しました。当時、姉は大学院生で、「人はどうやったら成長できるのか」という私の漠然とした興味を、「経営学部でそういうことが学べるのでは」と示唆してくれたんです。
一回目の就活では実は航空会社とは縁がなくブライダル業界に入りました。その後やっぱり諦められずにグランドスタッフになりました。グランドスタッフとして、飛行機を飛ばすことに誇りをもっていましたし、私はずっとここで働いていくんだろうなと思っていたんですが、とあるきっかけで別会社の航空会社の方とお話しする機会があって「CA楽しいわよ!」「興味あるなら受けてらっしゃいよ!」と背中を押してくれたんです。それが2012年で、念願の客室乗務員としてデビューとなり、日系航空会社に入社しました。それから13年目になります。
●不安も原動力に変える
———私も社会人大学院で学んでいた時、仕事との両立に苦労した記憶がありますが、能間さんは育児もされながらですよね。そもそも大学院進学を考えられたきっかけは?
大きな転機になったのは、第一子出産後のコロナ禍での復職でした。当時、フライト数が激減していて、むしろそれを機会と捉えて早めの復職を選んだんです。現場が慌ただしくない時期に復帰して、徐々に慣れていこうと。ただ、やっぱり育児と仕事の両立には悩むことになって、ふと周りを見渡すと同じように悩みながらも働いている人たちがたくさんいました。そのような環境の中で彼女たちと一緒に働きながら「なぜみんなは暗闇の中を走れるんだろう」と考えるようになったんです。
———コロナも重なって、先行きがわからない中で大変でしたね。
そうなんです。その頃にキャリアカウンセラーの学校にいって、資格を取りました。最初は個人向けのキャリアカウンセリングを副業として始めたんですが、新たな課題に気づいたんです。クライアントの方々は、カウンセリング後にはすごく前向きな気持ちで帰られるのですが、その後、職場や家庭に戻っていった後に本当に生き生きと働けているのかが気になって。個人へのアプローチだけでは限界があるんじゃないかと。
———組織全体への視点が必要だと感じられたわけですね。そこからLDCを選ばれた理由は?
はい。組織開発に興味を持ち始めたんですが、人事の経験がない私に何ができるんだろうという不安もありました。でも、会社の育休制度が3年取得可能で、「行くなら今しかない」と。実は姉の存在で「大学院」という選択肢は以前から頭の片隅にあったんです。自分の選択肢として具体的に考え始めたのは、入学する1年半前くらいからですね。
———LDCならではの特徴として感じていることはありますか?
グループワークの多さですね!普通の大学院だと、講義中心だったり、指導教官とマンツーマンで論文指導を受けたりする印象がありますが、LDCは同級生との関わりが本当に多い。これは他の大学院では得られない経験だと思います。
———私も同感です。多様なバックグラウンドを持つ仲間との対話は刺激的でしたよね。実際に学んでみて、印象に残っているエピソードはありますか?
(笑)ウェルカムプロジェクトでは、かなり苦労しました。チームメンバーの中で私以外は組織開発をガッツリやってきた方々で、思考の仕方が全然違ったんです。グループワークが進むほど、意見を言えなくなってしまって...。でも、そういうことに直面した経験も含めて、自分の世界がどんどん広がっていくのを感じています。
———育児と学業の両立は大変そうですが、どんな工夫をされていますか?
食洗機と乾燥機のフル活用です!(笑)大学院に入る前は「手洗いの方が早い」なんて思っていたんですが、今は家電に感謝の毎日です。あとはミールキットを活用して、食事の準備時間を極力減らすようにしています。
金曜日の夜の授業の時はベビーシッターさんやファミリーサポートの方にも来ていただいています。できるところは徹底的に効率化して、学びに集中できる時間を作るようにしています。
●学びを糧にテイクオフ!
———今後のキャリアについて、具体的にどのようなことを考えていらっしゃいますか?
客室乗務員の仲間たちや会社はすごく大好きなので、できれば自社の人材本部で働きたいという思いはあります。
———でも、そこには課題も?
そうなんです。客室乗務職での入社なので、人材本部に行くためには一度退職して、改めて受け直す必要があって。採用されることも約束されているわけではないんですよね。
今は3つの可能性を考えていて。自社での転職か、他社への転職か、独立してコンサルタントとして活動するか。まだ決めきれていない段階ですが、今自分ができることはやっていこうと思っています。
先月には個人事業主の開業届も出しました。どの方向に進むにせよ、選択肢を持っておきたいんです。いろんな可能性を模索しながら、自分の道を見つけていけたらいいなって思っています。
———次の1年に向けての意気込みを教えてください。
とにかくビリでもいいから卒業することです!来年はクライアントワークを一人で回していかなければならないので、正直不安です。でも、同級生と支え合いながら、孤独にならずに乗り越えていきたいですね。実践共同体として、お互いに高め合える関係を築いていけたらと思います。
———最後に、社会人大学院への進学を考えている方へメッセージをお願いします。
私の場合は、まさに育休期間という限られたタイミングでの挑戦でした。でも、振り返ってみると、キャリアコンサルタントの資格を取ったり、副業を始めたり、少しずつ準備をしていたんですね。
日々の中で少しずつできることから始めていくのも一つの方法だと思います。そして、大学院での学びは、想像以上に視野を広げてくれます。ぜひ恐れずにチャレンジしてほしいですね。