中小企業診断士とMBA。同時に目指したからこそ得られた経験 名古屋商科大学大学院

働きながら学ぶ人を紹介する「先輩インタビュー」
今回は名古屋商科大学大学院 マネジメント研究科を修了した佐藤大地さんです。

「経営について学べる資格はないだろうか」2012年に新卒入社した物流会社で現場部門の経験の後に本社配属となったことをきっかけに、経営の在り方へ関心を募らせた佐藤さん。最初に目をつけたのは「中小企業診断士」。次に、以前からなんとなく気になっていた「MBA」。そしてこれらが同時に取得できる可能性があることを知りました。働きながら、「中小企業診断士」と「MBA」の取得を目指した佐藤さんのお話を伺いました。

佐藤 大地さん

1989年生まれ、北海道帯広市出身。幼少から大学までアイスホッケーに打ち込む。大学は親元を離れ兵庫県にある関西学院大学へ進学。在学中には、国防政策や政治学のゼミを専攻。大学卒業後は大手物流企業(プライム上場)に入社。20代の終盤までは現場部門でオペレーションに取り組む。その後、海外研修制度でマレーシアに1年派遣。帰国後は本社配属により現在に至る。昨年、男の子が誕生し1児のパパに。仕事、育児、勉学と二足とならず三足の草鞋を履く生活を経験。

卒業・修了した大学・大学院:名古屋商科大学大学院
入学年月(年齢):2020年9月(31歳)
修了年月(年齢):2022年9月(33歳)

「あ、会社ってこうやって回っているのか」

——— まずは、佐藤さんのご経歴から伺いたいです。学部時代はどんなことを学ばれていたのでしょうか?

関西学院大学の総合政策学部で主に国防政策を勉強していました。当時は沖縄の普天間基地移設問題が話題になっていた時期だったので、実際に沖縄の基地にも研修で行きました。



——— 卒業後は物流業界に就職されていますね。

そうですね。よく耳にする「ロジスティクス」という言葉は、元々軍事用語です。就職先として大学で学んだことに関わる業界を探していたときに物流業界とも出会いました。東日本大震災直後の就職活動で厳しい状況でしたが、運よく採用していただき、入社後は関東圏の物流センターに配属されました。一定期間でローテーションしながら様々な現場を経験しましたね。そして4年ほど経ったころ、社内の海外研修制度でマレーシアに行かせていただきました。



——— そうなんですね!ちなみに、マレーシアではどんなお仕事を?

現地法人への派遣期間は1年間でしたが、最初の半年間は輸出入関係の手配などを学ばせていただき、後半は現地の物流センターのオペレーション改善に入らせていただきました。日本はトヨタに代表されるカイゼン文化の国というイメージを持たれているので、現地では意見を求められることが多かったです。



——— 2017年の帰国後はどんな部署へ配属されたのでしょう?

本社の営業部門にて製薬企業を中心に担当しました。その後、2018年には社内の医薬品品質部門をスピンオフしたスタートアップメンバーとして配属されます。そこでは、製薬の流通に関する規制など外部環境の変化に対応するため、社内の制度づくりから関わりました。以前所属していた現場部門では、目の前のオペレーションに集中する立場だったのですが、本社で現場を統括する立場になると、そこで初めて「あ、会社ってこうやって回っているのか」と知ることが増えていきました。それが大学院進学へと繋がっていきます。



英語から中小企業診断士へ。学びのシフトチェンジ

——— 進学へのきっかけについてもう少しお聞きしたいです。

会社がどう回っているのかがなんとなく見えてくると、同時に「本当にこれでいいのかな?」と思うことも増えました。例えば、ボトムアップで生まれる声を経営陣が汲み取ろうとしなかったり、最終的に決定された施策のピントがずれているように感じたり。そのような違和感が積み重なった末に、組織の構造、経営の在り方を、ちゃんと体系立てて学びたいと考えるようになったのが、そもそものきっかけです。ただ、もとを辿ると最初はMBAではなく、中小企業診断士の資格取得を取りたいと思ったんです。

 

——— 中小企業診断士の資格はなぜ取ろうと?

少し遡ってお話すると、マレーシアで働きながら英語を実践レベルに上達させたいと思っていたのですが、実際は飛躍的に伸ばせず帰国したんです。帰国後も、引き続き英語力を高めることへ関心はあったものの、英語を学んだ先にどうしたいのかというビジョンがまったく描けなかったので、いま学ぶべきは英語ではないと気づきました。そこで、興味が出ていた経営面の知識を深められる資格を探してみたら、中小企業診断士と出会ったという経緯です。その気にさせた資格予備校のマーケティング戦略もすばらしかったのかもしれません(笑)



——— なるほど。ではMBAはその一環で目指そうと思ったのでしょうか?

そうですね。中小企業診断士の資格取得の一環でMBAの取得もできると分かったので目指すことになりました。ただ社会人になってからずっと、MBAはなんとなく取りたいなぁとは思っていたので、結果的にこれはよいタイミングだと思いました。

 

在学中に第一子誕生。育児をしながら大学院で学ぶ

——— 中小企業診断士の資格を取るとき、みなさんどういうルートを進むのでしょうか?

ざっくり2つに分けると、まず1つは中小企業診断士の資格取得を目的とした機関ですね。有名なところでは、東京の東大和市にある中小企業大学校という全寮制の学校が挙げられます。ここでは金融機関の社員が派遣されるケースが多いそうですが、半年間缶詰で一気に学ぶそうです。他にも、日本マンパワーとか日本生産性本部などがあります。

もう1つが大学院で学ぶルートです。ただし大学院では修士課程に進むことになるので、早くても取得までに1~2 年はかかります。私はこちらのルートを選択したので、通常のMBAの授業に加えて中小企業診断士に関する授業を受けていました。



——— それは大変だ……!佐藤さんはなぜ後者を選択されたのでしょう?

そもそもの話でいうと、2020年7月に中小企業診断士の1次試験を受け、2年目にして無事合格できました。そのまま2次試験に進むこともできるのですが、論述試験のため、難易度が高いうえに雲を掴むような要素があります。理由が分からないまま不合格を続けるような、負のループにはまってしまう恐れも。そのため、お金と時間はかかるのですがちゃんと勉強しようと思ったんです。

ただ仕事を続けながらと考えると、全寮制でみっちり学ぶのは難しいので、大学院を選びました。そのなかで、法政大学は人気ですが、全日制で昼間に授業があるため現実的ではない。そこで、授業が基本的に土日にある名古屋商科大学を選びました。ちなみに名古屋と言いつつも、キャンパスは東京・大阪・名古屋の三大都市圏にあるため、立地の問題はありませんでした。



——— 大学院進学に関してご家族からはどういった反応があったのでしょうか?

仕事との両立の部分に関しては妻ともよく話をしましたね。ちなみに、在学中に第一子が生まれたため、去年の9月から半年間の育児休業をいただいてます。珍しいケースかもしれませんが、育児をしながらMBAの取得を目指すことになりました。「そういう選択肢もあるんだな」と、子育てをしている方々の参考に少しでもなればうれしいです。

 

新鮮だったディスカッション中心の授業スタイル

——— それはおめでとうございます!仕事に育児に忙しくしながら週末に授業。スケジュールは大変ではなかったですか?

授業のレポート作成は平日にしていたので重く感じたときは正直ありますね。開講する2週間前にアサインメントが発表されるので、2週間で準備をしないといけないわけです。講義を受けながら次の週の講義のアサインメントが発表されたりするので、重なるとけっこう大変でした。特に、修了前の最後の半年は修士論文にあたるケースライティングの執筆と授業が重なったことで忙しさはピークを迎えました。執筆の追い込み期間は寝る間も惜しむような生活。しばらくは戻りたくないですね(笑)

 

——— そのなかで、大学院での最大の学びは何でしたか?

名古屋商科大学は「ケースメソッド」と呼ばれるディスカッション中心の授業スタイルを採用している大学でした。ハーバードビジネススクールで誕生した手法で、実際に起こった出来事を題材にして、皆がその当事者になったつもりで議論を深めていきます。扱う題材は同じなのに、発言者によって視点がまるで違うので本当に大きな学びになりました。ただ、相対評価だったため、クラスに参加している人のだいたい3割くらいが単位を落としてしまう制度でした。そのため、緊張感はありました……(笑)


——— それは、ハーバードビジネススクールでも同じように行われているのでしょうか。

そうみたいです。最初は学生のみなさんも少しピリピリしていました。

——— 他にも入学してみてギャップを感じることはありましたか?

中小企業診断士の資格取得を目的に入学したので、当初はMBAの学びは「とりあえず単位を取ろう」くらいで考えていたのですが、授業を通じたいろいろな先生との出会いはいい意味で期待を超えていました。例えば、たまたま選択したデザイン思考を学ぶ授業の教授は人を前向きにさせるのがうまく、ネガティブ思考の私をうまく乗せてくださったのでありがたかったです。その印象が強かったのか、最終的にその教授のゼミを選択しました。

 

MBAと中小企業診断士。理論と現実を同時に学ぶ

修了式のお写真
——— 大学院で学ぶことは佐藤さんにとってどんな経験でしょうか?

社会人になっていろいろな経験を積んだうえで学ぶと、腹落ち具合が学生時代と比べて全然違ったと感じます。学生のときは、どれだけ優秀でも実体験に基づいてないため、物事の説得力はどうしても弱かったと思うんですよね。大学院に行くことで、学んだことの説得力は増しました。



——— ちなみに、佐藤さんはどんな方に大学院進学を勧めたいですか?

転職をしようか迷っている方にまず勧めたいです。特に「現職がなんとなく嫌だから転職しよう」くらいの方はキャリア上でプラスにならないことも多いので、働きながら大学院に通うことを選択肢の一つに入れてみるのはいかがでしょうか。そこで他業界の方と交流したり、講義で学んだりしたうえで、転職するなり現職にとどまるなりを検討してもよいのではと思います。


——— ありがとうございます。そういえば、中小企業診断士はすでに取得されているんでしょうか?

はい。2022年11月1日付けで登録完了しました。



——— そうなんですね、おめでとうございます!

大学院では中小企業診断士のカリキュラムとして愛知県内の会社をクライアントとしたコンサル実習が必修でした。これも大きな学びになりました。1社につき1~2 ヶ月程度を1チーム8人で行いました。MBA講義の夏休みや冬休みの期間に行い、計5社の企業様で実習をさせてもらいました。訪問は1社で3~4日あり、平日であったため、有給をとる必要がありました。

MBAの授業で理論的なことを勉強して臨んだのですが、やはり現実の企業は教科書通りには行かず、ある種のジレンマを感じました。当初は苦しかったですが、その違いがあることは当たり前な事であると捉えるようになってからは、やりがいを感じ、少しは楽しめるようになりました。これはMBAと中小企業診断士を同時に学んでいたからこその経験だったと思います。



——— たしかにMBAだけでは得られない学びですね。最後に、佐藤さんの今後のキャリアイメージをお聞きしたいです。

まずは現職で頑張りたいです。進学以前と比べると物事の見方がブラッシュアップされていると感じるため、大学院で学んだことを仕事にどんどん活かしていきたいです。それと同時進行になりますが、中小企業診断士の活動を徐々に始めていきたいと考えています。最初はプロボノベースだと思いますが、最終的には独立をすることを自分のなかのゴールに置いています。もちろん、そのためのステップとしての転職も選択肢としてゆくゆくは考えています。当面は、院生活を終えたばかりですので、その分のキャパシティは家庭に充てます(笑)



——— 子育てもあるので大変だと思いますが、応援しています!今日はありがとうございました。

 

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