大学院進学はゴールではない。大学院で得た知識と思考力 株式会社マルハン

社会人としての顔を持ちながら大学院に通う人と企業にフォーカスする「学ぶ大人が集まるカイシャ」。

今回インタビューしたのは、株式会社マルハンで働くお二人です。2021年にグロービス経営大学院を修了した西眞一郎さんとそのチームメンバーで、現在グロービスに通っている仲奈稚さんです。

西さんには以前「先輩インタビュー」でお話をうかがっており、そこにチームメンバーの仲さんを加えて、社会人大学院に通う方が会社でどのような環境で働いているのか、周りのサポート方法などのお話を聞きました。志を抱いて進学をした西さんの学びへの思い。その思いに共感し、進学を決意した仲さんの考えにフォーカスしました。

組織を変えたいという思いが学びを通して、伝染した株式会社マルハンのマーケティング部を覗きます。



西 眞一郎さん

(株)マルハン マーケティングマネージャー。これからはブランドが重要な時代と理解し、グロービス経営大学院卒業後に資格を取得。ブランドマネージャー認定協会でブランディングの講師を務めながら社内変革を推進中。 

卒業・修了した大学・大学院:グロービス経営大学院
入学年月(年齢):2019年(42歳)
修了年月(年齢):2021年(44歳)

仲 奈稚さん

株式会社マルハン
2006年入社 2019年~2022年店長勤務 2022年~マーケティング部

資格・学び
ポジティブ心理学インストラクター   2019年7月取得
ブランドベーシック資格        2022年4月取得
アンガーカウンセラー         2022年7月取得

2022年~2023年 Xデザイン学校

卒業・修了予定の大学・大学院:グロービス経営大学院
入学年月:2023年4月
修了予定年月:2025年4月

会社を変えるためのビジネスパートナー探しで見つけた原石


—————まずはお二人の出会いについて教えていただけますか?

西眞一郎(以下西):仲と私の出会いは2年前です。数年後には独立を考えていて、ゆくゆく私のポジションを担えるビジネスパートナーを探しているときに出会いました。社内で公募をして、それに応募してきてくれたのか彼女です。

後任として選んだ決め手は、彼女がリレーションパワーをちゃんと持っていたことです。リレーションパワーとは、人に影響を与えるパワーの3つのうちの一つで、他者とのコミュニケーション能力を指します。ここは社内改革を実施するうえで、欠かせません。

他にも組織の肩書きによるポジションパワーや個人としての力であるパーソナルパワーがありますが、これらはのちのち身につけることができます。しかし、リレーションパワーは獲得が難しい。リレーションパワーをすでに持っていたので、ぜひ彼女と一緒に仕事をしたいと思いました。



—————コミュニケーションの部分は人を動かすにあたって1番重要なスキルの土台ですよね。仲さんはコミュニケーション能力という部分で、自分をどう評価しますか?

仲奈稚(以下仲):コミュニケーションを取ることは比較的得意ですね。



—————逆に仲さんから見た西さんの第一印象はどうだったんですか?

仲:研修をやってくださっているときに西さんの価値観や志を知って、一緒に働きたいなと思いました。自分の能力面での心配はありましたが、面接で異動したい思いを一生懸命伝えた覚えがあります。



仕事に通じる進学のきっかけとは?子育て・仕事に欠かせない心理的安全

—————ありがとうございます。お二人とも大学院に行かれていますが、進学のきっかけを教えてください。まずは西さんお願いします。

西:私はとりあえずやってみるタイプの人間なので、飛び込んでみたという感じです。もともと社内研修でグロービス自体は知っていて、自分の志が明確になったタイミングで「行こう」となりました。

志が明確になったとしても、それを達成させるためにはスキルが欠かせません。スキルを体系的に学ぶ場としてグロービスを選びました。



—————仲さんはいかがですか?

仲:私が進学したのはマーケティング部に異動して働き始めたタイミングでした。それまでは店長で現場を管理する立場でしたが、パチンコ経営に直接関わらない学びの優先度は低かったです。なので、大学院進学は考えていませんでした。

しかし、マーケティング部で社長直属の組織に入って、経営のことを知っていて当たり前な環境になりました。学ばないと満足のいく仕事はできないと感じて、後先考えずに進学を決意しました。学ばないと同じ土俵で喋れないくらいだったので。



—————目的意識を強く持って進学されたんですね。お二人がグロービスに進学するときは周りからの反対はありましたか?

西:私はまったくないです。誰にも相談していませんでした。妻に進学する報告をしただけで、会社にも相談はしていないですね。



—————ありがとうございます。仲さんはいかがですか?

仲: 私も基本的には反対されることはありませんでした。ただ、私自身が子供と一緒にいる時間に影響でないように通えるかは不安がありました。

また学費は安くないので、夫とは話をして将来への投資として理解をしてもらいました。夫の理解なくして学校には通えないですからね。



—————なるほど、計画を立ててすべてお話したんですね。

仲:時間の面も問題はありますね。最初は了承してもらっても、家族の時間を二の次にしてしまうと、進学したあとにパートナーが反対してしまうということもあります。結果的に罪悪感を感じながら学ぶことになるので、大学院に通うことが苦痛になってしまいますよね。



—————仲さんは、西さんや上司に相談しましたか?

仲:はい。グロービスへの進学は、今のままだと西さんの代わりになる能力が足りないため、大学院で学んで知識を得たいと伝えました。そして大学院進学に対して、会社の予算として出してくださいとは言わないので、時間だけは調整させてもらいたいと直談判しました。本来は土曜日に勉強すれば良いのですが、子どもとの時間を優先したいという思いもあったので、就業前に行ってその代わりに振替などをして調整させてもらえるよう事前に相談しています。



—————相談しやすい環境は結構大きいですね。

仲:これが許可が降りなかったら、大学院への進学は諦めていたと思います。今では西さんに学びや仕事に対して、常にフィードバックをもらっていますね。履修のアドバイスももらいました。



—————大学院に通って、大変だったことなどはありますか?

西:私はすごく大変と思ったことはあまりなかったですね。仲さんはどう?

仲:大変なことありますね。子どもの発熱など予測できないことが起こったときは、自分のスケジュールが狂ってしまうので、大変です。会社のスケジュールは見通しが立つので、自分の勉強時間の確保はしやすいのですが、子どもはイレギュラーが多いです。

大学院の同期を見て思うのは、なんとなく進学した人は大変だということです。勉強の目的を途中で見失ってしまいます。私の場合は、ゆくゆく西さんが独立されることがわかっていたので、目的がしっかりしました。



—————子育てと学業の両立について詳しく知りたいのですが、もう辛いなって思ったときには、どう気持ちを持ち直していますか?

仲:マーケティング部は、上司が常にプライベートを大事にしてくれるので、大変なときは俺が変わるよと気遣ってくれます。その気遣いがあるとないとではまったく違いますね。



—————セーフティーがあるとわかっているだけで安心できますね。

仲:そうですね。結局、物事はあまり変わらなくても、その一言言ってくれるだけで、気が楽になって頑張れます。ただ「やれよ」と言われたら、多分思考が止まっちゃいます。本当はこの時間でできるはずなのに、もうどうしようと悩んでしまい仕事が手につかなくなってしまうんです。

マーケティング部に異動をしてプライベートを大切にしてもらえる環境に変わって、より頑張れています。上司や周りの環境は精神安定剤的なものになっていますね。

ただ、仕事はしっかり厳しく見られています。子育てしているからと言って甘やかされることはありません。しっかり厳しくやるところはやって、プライベートの心理的安全はしっかり確保しています。



基礎を学ぶことの大切さ。仕事で欲を出すことの意義


—————では逆に、仲さんが通って実際に良かったなと思うことはありますか?

仲:良かったことはたくさんあります。知らなかったことだらけで、店長として学んでいたらいろいろできただろうなと思うことがあります。店長として働いているときは、なんとなく経験値に頼っていることが多かったですが、ちゃんと学んだうえでいろんな知識があったら考え方が変わったなっていうのはあらためて思いますね。ちゃんと正しいことを学んでから、応用していかないと部下の道を切り開いてあげられないとすごく危機感を覚えました。



—————基礎力の重要性みたいなところに気づいたんですね。

仲:あ、そうですね。まず基礎を徹底して、しっかりわかったうえで応用とかやらないと、どこかしら崩れが出てきます。なので、基本をちゃんと学ばなければと痛感しています。そのうえで、仕事では指導してもらっているので、贅沢な環境に身を置いているなと思います。



—————西さんは大学院で学んだことが活きているなと思った瞬間はありますか?

西:それはもう毎日思っています。グロービスでは、思考のクリティカルシンキングという授業を最初に受けます。いわゆる料理の方法を学ぶ授業です。例えば良い材料を持ってたとしても、レシピがわからなかったら、おいしい料理はできません。この思考が定着してるからこそ、日々入ってくる情報を整理して、処理できると思います。グロービスの最初の授業は、日々の思考に生きていますね。多分仲もそうだと思います。

仲:私もそう思いますね。自分が言われたことをすべてロジックに当てはめながら、日々考えています。



—————他に自身に影響を与えた学びはありますか?

西:以前のインタビューでもお伝えしたのですが「パワーと影響力」というクラスです。今でも実践しています。簡単に言うと、人をどのように動かすかを学ぶ授業です。普段からどうすれば、誰がどのように動くか計算しながらコミュニケーションを取っていますね。



—————西さん的にはその当時、その授業を聞いたときは衝撃だったんですか?

西:自分が経験でやっていたことが整理整頓された感覚でした。もともとやってたことが言語化された感覚です。



—————大学院に仲さんが通われて、西さん目線で変わったなと思うことはありますか?

西:大きく変化していますね。マーケティング部に彼女が来たときに、すでに3年後に独立することを伝えていました。3年後に私と同じことができるようになっていなければいけないと、期待値を伝えていたんです。

当時の彼女は学びのまの字もなくて、マーケティングっていうものも、まったくわからない状態でした。

仲:マーケティング用語などを携帯で調べている状態です。

西:まったく0の状態でした。ただ私は知識面に関しては彼女は問題なく獲得するだろうと思っていたので、積極的に指導はしていきました。プレゼンをしたら「今のプレゼン、自分で何点?」と言って、詰めていましたね。

仲:やめてよとも思いつつ、ありがたかったです。



—————最初は、ご苦労されてたところはあると思うんですけど、吸収スピードは早かったですか?

西:彼女は吸収が早かったですね。私が本当に3年後っていう期日決めても、諦めることなく学び続けてくれています。



—————3年というリミットも大きいかもしれませんね。

仲:ゴールを見せてくれてるのはありがたかったです。未来が見えていなかったら、進学も決めていませんでした。



—————確かに、3年は絶妙な時期ですね。他に仲さんに現れた変化はありますか?

西:結構、欲を出すようになりました。私たちのマーケティングは潜在ニーズを読んでいかなければいけません。要するに人間がどんな行動をしていきたいのか、欲の部分を見ていかなければいけないんです。しかし、以前の彼女は欲を抑えて我慢する傾向がありました。これは欲を否定することにつながるので、人間の欲がまみれている漫画を読ませていました。

仲:最初は欲まみれの漫画は読めませんでした。漫画自体は読めますが、人の欲がむき出しの作品は苦手で。ただ、作品を通して欲が出るのは良い悪いではないことがわかってきました。欲まみれの人の心理がわかってくると、見られるようになってきたので、欲の部分にも抵抗感はなくなったと思います。



ゴールではなく、これからが始まり


—————仲さんの場合はあと1年で卒業になると思うのですが、西さんが独立された後の状態に近づいている手応えはありますか?

仲:西さんがいなくなったあとの状態に完璧になれているかというと難しいところもあると思います。ただ、私が学んだことに自分なりに自信を持てればいいかなとは思っています。やはり西さんは、知識量や経験量は圧倒的に多いので。でも常に私は追い続けて、追い抜こうと常に頑張っています。



—————仲さん自身のスキルというか、能力に落とし込んで。

仲:やりたいことを実現するために、常に学び続けたいと思います。大学院進学はゴールではなく、スタートです。最低限の基本を学んだ状態なので、そこからは私らしい学びを続けていければと思います。



ゴールは「好きなものを好きだと素直に言える社会にしていく」こと

—————ありがとうございます。最後に西さんが立ち上げているプロジェクトの進捗状況を教えていただきたいと思います。

西:今のところ進捗はおおむね良好ですね。



—————あらためてどのようなプロジェクトですか?

西:私たちの最終的なゴールは、マルハンをパチンコ店ではなく、好きなものを好きと堂々と言える世の中を作る企業に生まれ変わらせることです。 この目標達成に大切なのは、インターナルの社内変革です。

儲かってるからいいのではなく、俺ら社会的にどんな意味や意義あるのかちゃんと考えましょうよっていうことを伝えなければいけません。特に、上層部の人たちのですね。上層部の人たちの意識を特に変えるのは難しいと思っていて、今も継続して対応している最中です。



—————上層部の人にはどのように訴えかけているのでしょうか?

西:しつこく言い続けています。私も粘り強いタイプなので、意識改革ができるまで言い続けます。

仲:もういろいろ考えますよね。本当に大変です。現場はすでに危機感を持っていますが、上層部には危機感より、未来への期待感を伝えていくことが必要なことを実行しながら学びました。

西:こういったことをどこまで本気で達成したかによって、大学院に行くべきかどうかが変わります。危機感のレベルとTo Beが伴って初めて学びのモチベーションになるのかなと思いますね。



—————今後について教えていただけますか?

西:今年は朝の情報番組に取り上げてもらうなど、いろいろやっていく予定です。 結構、目にしていただく機会も増えるかなと思っています。社内のインターナルのやる気を上げていくためにも、 結果で見せていくしかないですね。



—————本日は、ありがとうございました!今後の動きにも注目ですね!



執筆者:堀口 祥子



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