キャリア+育児+学問。探求は人生を豊かにする。 名古屋商科大学大学院

働きながら学ぶ人を紹介する「先輩インタビュー」

今回は名古屋商科大学大学院(NUCB)で学ばれた平岩さんです。

製薬業界でのキャリアを考え理系学部を卒業した平岩さんが、保険会社に転職。その経験を活かし、コンサルティングのビジネスに転身する中で一貫して持ち続けた視点が「人の役に立てること」でした。学びの場で探求心に刺激を受けた平岩さんが、今後どのようなキャリアをイメージしていらっしゃるのか、お話を伺いました。

平岩 磨理子さん

信州大学農学部卒業後製薬の臨床開発業務に従事した後、AIG損害保険株式会社(当時はAIU保険会社)に転職。保険会社では代理店営業、オンラインビジネスの企画を担当した後事業・商品戦略マネージャー。その後外資系コンサルティング会社に転職。金融機関などの成長戦略・営業変革のプロジェクトを支援、現在マネージャー。Zappsコーチ養成講座修了。

名古屋商科大学大学院(NUCB)

入学年月日:2017年4月入学
修了年月日:2019年3月卒業

軽やかなキャリアチェンジでスキルアップ。

———— ご出身が愛知県で、信州大学を選択されたのですね。農学部を選ばれた目的などあったのでしょうか?

学部は農学部か薬学部に行きたいなと思っていました。いずれ医薬品の開発に携わりたいと考えていましたので食品成分の研究ができるところがいいなと思っていました。一人暮らしがしたいと思っていたので、県外の大学を受験しました。

本当はそのまま大学院に進学して研究がしたかったんですが、両親と相談して諦め、理化学研究所に数ヶ月勤めました。しかし、毎日マウスと対面しているのは向いていなかったですね。高校時代から医薬品の開発に関わりたいと思っていたこともあり、研究所で仕事をしながら大学院への道を考えていましたが、研究の道はあきらめ、事業会社に就職することにしました。

その後CRO(Contract Research Organization)で、医薬品の臨床開発職に1年半程度就いていました。

理系へのこだわりをキャリア視点で見直した転換点

———— そしてこの後、保険業・企画職という領域の違う方面への大きな転換点が訪れるわけですね。

そうです。AIG損害保険(当時はAIU保険会社)という外資系の保険会社に入りました。入社後、初めは代理店営業を担当しました。その後オンラインビジネスのマーケティング全般を担当した後個人向け商品の事業戦略のマネージャーをしていました。

製薬業界でのキャリアを考えていましたが理系出身とはいえ学部卒の私。マスターやドクター保有者がたくさんいる業界ですのでキャリアを築いていくのも難しいのではないかと考えるようになりました。それで、ほかの業界も含めて可能性を検討しました。製薬会社の臨床開発の内定もいただきましたが「人の役に立てる仕事」について幅広く選考を受けました。その中でAIU保管会社の保険金支払い部門の求人に応募してみたところ、人事の方に「むしろ営業や企画系が向いていそう」と言っていただき、選考の途中で選考先の変更をしました。そうやって適性をみながら選考してくれる会社の姿勢にも好感が持てたので、AIUに総合職として入社することに決めました。




———— 大学に行きます!と伝えたときの会社の反応はどのような感じでしたか?

マネージャー昇進をきっかけに、オンラインビジネスだけでなくオフライン含め事業全体を担当することになり、経営について体系的に学んで実践したいと思うようになったんですね。仕事を任せてもらったけど、まだスキルが足りないから大学院に行って勉強したいと考えて大学院に行くことにしました。会社では周囲にも大学院に通っていることは伝えていました。外国人の役員の方に、どんなキャリアを考えているんだ?と聞かれるなど、とてもポジティブに受け止めていただいていたと思います。

育児タイムテーブルに合わせたスクール検討

———— 大学院を選ぶ際の軸のようなものは何かありましたか?

ビジネススクールで、働きながらパートタイムで通える大学院を探しました。ところが「平日夜+土曜」のスクールが多いんですね。あとはウィークエンドだけで完結するタイプとオンラインのものがありました。

私の場合子供がまだ小さかったので、平日夜のスクールは厳しいと判断しました。残る現実的な選択肢はウィークエンドかオンラインです。

ウィークエンドで完結する名古屋商科大学大学院(NUCB)の単科の授業を受け、グロービスの説明会を聞いて比較してNUCBに決めました。対面の臨場感も良かったし、授業がケーススタディーを使ったディスカッション方式で進められるところが自分に合っているなと感じました。単科の授業で学んだことがすぐに仕事に生かせるような実践的なものであったことも良かったです。

基本的には東京校に通い、何度か名古屋校での授業を取ることもありました。名古屋校で講義を受講するときには新幹線で行って実家に泊まり、子供を預けて講義に出ていました。これは当時まだ子供が小さく、週末の習い事などがなかったから可能だったことではあります。




———— 子育て・仕事・大学院と、かなりお忙しい状況が想像されるのですが、実際どんなスケジュールでやりくりされていたのでしょうか。

平日は通勤の行き帰りの地下鉄で、ケースや教科書を読みます。夜9時に子供を寝かせると決めました。「ママは勉強するからおやすみなさい」と伝えて寝かせていました。その後大体夜12時半ぐらいまで予習。これを月曜日から金曜まで繰り返します。2年目は予習のコツを掴めたことと、授業の頻度も減ったのでもう少しゆとりがありました。

土日は授業なので、子供はパートナーが家にいる時は頼み、調整できない時は母にお願いして愛知県から来てもらっていました。今思うと、家族総出でホントによくやったなと思います。

現場での問題意識と学び舎での探求心が刺激し合う日々

———— 2年間の学びの中で印象に残っている授業などはありますか?

印象に残っている授業はたくさんあるのですが、特に面白かった授業が2つあります。

1つは「戦略的管理会計」です。ちょうど会社でも事業の収益も見る立場にありました。事業収益の分配率(アロケーション)はすでに決められているので、「そういうもの」だと思ってあまり深く考えていなかったのです。でも、社内の事業状況の見せ方に対して、アロケーションのメソッドがいかに重要かを授業を通して理解できたとき「おー!なるほど!」と少し感動してしまいました。

もう1つは「ビジネスエスノグラフィ」です。すごく面白かった。いまの私が勉強している領域にもつながっています。エスノグラフィの講義では、店舗などを観察して課題を見つけて改善案の検討もしました。事前課題でお花屋さんを半日ほど観察したことをよく覚えています。サービスを企画する側はお客さまの行動を予測して設計するのですが、想定外のことがよく起きます。人の行動を観察するアプローチがとても面白いと思いました。

経営学には様々な理論がありますが、その通りに実践することは難しい。理論上はわかるのですが、それぞれの会社にはそれぞれの文化や慣習があって、中にいる人たちがその通りの行動をするかは分からない。理論からではなくて、観察するところから入るエスノグラフィのアプローチに関心を持つようになりました。

多くの企業が変革を求められつつもうまくいかないことも多いと思います。私自身も会社が変わるのは難しいなと感じていました。「会社はなぜ変われないのか」の問いのヒントかもしれないと思いました。




———— 授業以外で得られたものなどがあれば教えてください。

人とのつながりで、探求したいと思う熱量を得られたことですね。

NUBCは修論の代わりにケースを書くんですが、私が入ったゼミは、毎年3月と9月の卒業に向けて、ゼミ生が書いたケースで模擬授業をするというケース検討会が毎年冬と夏に開かれます。

いろんな方が一生懸命考えたことを聞いたり、今一生懸命MBAで勉強してる人たちの話を聞いたり、同じゼミの同窓の人たちの転職報告を聞いたりすると、すごく刺激を受けるんですね。そういう刺激をくれる方たちと出会えてずっと繋がっていられるというのは大学院に進学するときに期待していたことではなかったのですが、本当に良かったです。

こういった方たちとのつながりによって、私の探求したい熱量が保たれているなぁと思います。色々なことを勉強したくなって、大学院に入る前とは読む本も変わりました。

今は文化人類学の本をよく読みます。

スマイルズという会社を人類学する-「全体的な個人」がつなぐ組織のあり方という本を読んだことがきっかけです。

会社の組織を人類学的なアプローチで観て、組織について探求したいと思っています。先ほどの「会社は何で変われないんだろう?」のその先です。

現在、博士課程に行きたいと思って準備を進めています。理系出身なので、文化人類学など社会科学全般の知識も基礎学力が不足しているので読まなければいけない本がたくさんあり、大変です。




———— 最近はTwitter界隈でも「ママ博士」みたいなのがちょっと盛り上がってますよね。

ママ博士!そうなんですね。「ママであること」自体がそこまで大事かどうかは分からないんですが、修士・博士とストレートで行くことも、アカデミックに深い造詣があって素晴らしいと思いますし、人生経験をある程度踏んだ上で進学することも、それもまた価値があると思ったりしています。

還元する未来に向かって

———— 卒業後、思い描く姿とか、今まさにどんなキャリアを考えてるかなど教えていただけますか?

ビジネスコンサルティングの仕事は好きなので、まだ続けたいなと思ってます。

世間ではコンサルについて賛否あると思いますが、結構真剣にそのお客さんのこと考えたりしているので、私は好きなんです。「これは困った」みたいなことを一生懸命考える、というのも好きです。ただずっと今の働き方を続けられるかはまだ分かりません。

「会社は変わりたいって言ってるけど、なかなか変われない」という自分の問題意識は保険会社時代からスタートしてるので、最後はまた事業会社に戻り、その中でお役に立てることがあるのではと思っています。

また、博士に進んで人類学を勉強をしたいという思いが強くなっている今思うのは、MBAで自分が教わったことは人生をより豊かにするきっかけになっているということなんですね。私はそれを伝える側の方にもなってみたいなと思うんです。

コンサルの経験も生きると思うし、事業会社での経験も生きると思うし。それに加えて、アカデミックなバックグラウンドもちゃんとつけていけたらいいなぁと。これはまだ希望です(笑)

やってみたい気持ちがあるならやるべき

———— 最後に、受験を考えている人へひとこと頂きたいのですが、受験準備これおすすめだよ、とか、どんな人に進学を勧めますかなどをお話しいただけますか?

実は、それほど準備には時間をかけていません。ただ、自分がなぜ勉強したいのか、勉強してどうなりたいのか、ということをじっくり考えて小論文を書いたと思います。面接対策はもちろんしました。

今、日本の企業でもずっとその会社にいられるかどうかわからないですし、漠然と不安を感じているのであれば、キャリアの幅を自分の力で広げられるよう進学してみたらいいのではと思います。また、いろんな会社で働いてる人に会うことで「そういう選択肢もあるんだ」「自分にもできるかもしれない」などと思えたりします。

やりたいなと思うんだったら、やってみた方がいい!

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コメント一覧
  1. 藤原 より:

    自分のやりたい知りたい学びたい気持ちに、純粋に。貪欲に。自由に。
    あーそれでいいんだなぁと、背中をおしていただきました。
    ありがとう!Elephant Career!

    私は子育ても終わりかけで、娘は二十歳。自分は五十過ぎ。
    そんな私ですが、昨年末に青山学院大学のワークショップデザイナーコース(WSD)を受講しました。
    大学院ではないし、3カ月間の短期間ではあるものの、濃密な学びの時間でした。
    「修了生」という仲間もたくさんできて、ともにさらなる学びをすすめています。

    実は、WSD修了して半年後。
    仕事の「実践」と「学び」の位置づけが異なるような気がして、少し悩みはじめていました。
    学んだことを、仕事で活かすシーンがないのではないか。
    学びを活かすとは、誰と何をすることなんだろうか。

    なんだか、自分は「車型」か「電車型」で、
    いま勤務している会社の世界しか、見えなくなっていたことに気づきました。

    自分がしたいことは、
    もやっとした言語化できない気持ちを、カタチにするお手伝い。
    そうしてカタチになったものでコミュニケーションすることが、
    多様性とか、これからの社会に、かならず役にたつと、信じる。
    それは、ワークショップだったり、ファシリテーションだったり。

    そんな自分のしたいことを、迷わず爆走していっていいんだ。
    興味がある分野の単科を受講したり、
    興味がある人にどんどん会いに行ったり。

    そんな当たり前のことが、すっかり見えなくなっていました。

    年齢なんて、関係ない。
    今日からまた自由に走り始めます。
    背中を押してくれて、ありがとう!

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