働きながら学ぶ人を紹介する「先輩インタビュー」
今回は2022年3月に同志社大学大学院ビジネス研究科(DBS)を修了し、MBA(経営学修士)を取得したYさんです。
ご自身の経験を他の方にも伝えたいとTwitterで社会人大学院について発信しているYさん。ユニークな経歴と進学を決めたきっかけ、大学院で得た学びについてお話を伺いました。
同志社大学大学院ビジネス研究科(DBS):MBA(経営学修士)
入学年月日(年齢):2020年
修了年月日(年齢):2022年
●新卒入社1年目でキャリアシフト、留学と転職を経験
———経歴を教えていただけますか?
法政大学を卒業後、金融機関に入社しました。
———大学院進学を検討したきっかけは?経歴を教えていただけますか?
金融機関に入ったものの、業界の変革期で。メンタルを病んでしまうなどして辞める仲間を見て、入社1年目で自分のキャリアを仕切り直そうと思うように。いきなり転職活動を始めたのではなく、その前に学生時代にやりそびれたことをこのチャンスにやってみようと思い、フィリピンに数ヶ月語学留学しました。
フィリピンには英語を学びに行ったんですけど、それ以上に、同じように語学留学している社会人の方々と交流できたことが大きかったですね。それまでは他業界の人と社会のことや仕事のことでリアルな話をすることがなかったので、非常に感動して、広い視野を持つことの大切さを知りました。帰国後は専門商社に就職しましたが、就職した頃から社会人大学院を受験しようと考えていました。
———いきなりMBAが候補に上がったんですか?
いえ、いろいろ検討しました。趣味のサークルなどでもいろんな人とつながりが持てますけど、MBAはやっぱり違う。教授陣も大企業の役員やテレビに出ている方などが多くて、そういう人に気軽に相談できるってすごいですよね。授業料を数百万払っても十分元が取れると思いました。現に自分も有名な教授のゼミに入って、今でもいろいろ相談に乗ってもらっています。次の進路も相談していますね。
———次の進路というと、博士課程ですか?
いえ、MBAで理系のことに興味を持ったので、データアナリストになるために修士に入ろうかなと。いま専門商社の管理部門にいて、その仕事にも応用できますし、30代に入る前にもう一度、より希望に近い転職をしたいとも考えているので。MBAは転職の方向性を考える良い機会になったと思います。
———大学選択の軸や他に検討した大学は?
教育訓練給付金制度を利用できるMBAを探しました。教育訓練給付は結構重要な情報だと思います。知らない人が多いので、ぜひもっと知って欲しいですね。他の大学院で僕が受験したのは、明治大学と青山学院です。明治は落ちて青学には合格しましたが、京都の今出川にある同志社の方が住まいに近いので、フィリピン留学後に同志社を選びました。
———受験準備はどんなことを?
通信制予備校を3ヶ月ほど受講しました。サテライトの授業でした。
———パートナーや家族,会社との関係性は?
実家に住んでるんですけど、 2 年間は食事など全部作ってもらって授業に集中できる環境を整えてもらいました。会社もフレックス制度が使えたので、平日も特に無理なく授業が受けられて、卒業までこぎつけることができました。
●一番の収穫は師との出会いと主体性を身に付けたこと
———進学前後でギャップはありましたか?
そうですね、2 年で卒業するなんて大変だと思ってましたが、頑張ればいけたって感じです。意外といけたみたいな。
———授業はどうでしたか?
大学院ではきちんと授業に出ていましたが、社会人は時間がないので、うまく取捨選択してメリハリをつけてましたね。今後の人生で役に立つだろうと思われる講義のみに力を絞って、それ以外の講義はなるべく授業中に課題をこなしてしまうようにしていました。
———在学中の過ごし方(1日・一週間のスケジュール)は?
地方に住んでいて大学は京都なので、平日はZoomでスタバとかで受けて、土曜日だけ新幹線で今出川まで行きました。京都駅から地下鉄で15分 ぐらい。コロナのおかげでZoomで受けられたのが良かったです。コロナがなかったら多分 2 年で卒業できなかったと思います。
———大学院での一番の学び、思い出に残っていることは?
一番の思い出は、指導教授の先生にいろいろ教えていただいたことです。先生の授業を受けたり、話を聞いたりしてすごくいい先生だとわかってゼミに入ったんです。
それから、主体的に動くことで結構いろんなことが成し遂げられると学んだことが大きな収穫でした。学生という身分を持ったことで、自分が会いたいと思った人に気軽に会いに行けました。たとえば、僕がフォローしているとあるインフルエンサーの方は、同志社のアカウントを使って、同志社の学生ですとメールを送ったらすんなりZoomで面談してくださって。学生じゃなかったらダイレクトメッセージを送っても多分スルーされてたと思います。
———修士論文はどんなテーマにしたんですか?
はい。同志社では修士論文とはいわず、ソリューションレポートというんですが、僕は「ミレニアル世代のキャリアデザイン」をテーマにしました。同世代の人たちのキャリア感、課題、社会が今後それをどう支えるべきなのか?という内容です。働き方が多様化する今を知るために10人のかなりキャラクターの濃い男女に長時間に当たってインタビューをして、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)という手法で検討しました。
———どんなことがわかりましたか?
転職や起業、副業はもはや当たり前の時代なのに、社会にはそれをサポートする土壌がない。
学校教育でのキャリア教育は不十分ですし、挑戦を認める風土がなくて、弱者や失敗した人に対しては厳しいという現実が浮かび上がりました。
なので、次にデータサイエンスの大学院に進学したら、このレポートで明らかにできなかったこと、「社会がキャリアデザインをどう支えていくのか」というテーマを統計解析したい。専門用語でバウンダリレス・キャリアとかプロティアン・キャリアというんですが、そういうキャリアを成功させている人とそうでない人の違いがどこにあるのかを浮かび上がらせて、公共政策にもつなげられたらと考えています。
●何にでもチャレンジできる20代での進学がおすすめ
———大学院に進学してよかったですか?
それは本当に良かったと思います。いろいろなアドバイスをもらえる師匠ができましたし。先生からいろいろな人も紹介してもらいました。
———どんな人に進学を勧めますか?
20 代で転職を考えてる人におすすめしたいです。大学院で学んだことや経験したことを 1番生かせるのは20代だと思うんですね。20代は未経験の職種にチャレンジできるチャンスがまだ残っているし、起業したり、異業界に行ってみたり、そういったことも可能だと思うので。
20 代でMBAに行く人は少なくて、同志社でも20 代は日本人では僕ともう 1人ぐらい。MBAはお金もかかるので 20 代で行く人が少ないんだと思いますけど、社会人経験 3年〜5 年ぐらいで行くのが一番良いのかなと思います。一番刺激が強いと思いますね、いい意味でも悪い意味でも。