迷ったり悩んだりしたらいつでも戻れる。社会人大学院は“学びの場の実家” 東京理科大学大学院 経営学研究科

働きながら学ぶ人を紹介する「先輩インタビュー」

今回は、東京理科大学大学院 経営学研究科 技術経営専攻(MOT)を卒業した長谷川徹さんです。

組織の中で輝く人を応援したいという思いで人事に携わり、さまざまな分野の仕事をこなしながら大学院を修了し、現在は人事総務部長として活躍するかたわら、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科の兼任講師として教壇にも立っています。

大学院に至るまでの経緯と大学院での学びについて、お話を伺いました。

 

長谷川 徹さん

東京理科大学を中退後、工学院大学専門学校電子情報科を卒業。26歳で社会人としてのキャリアをスタートさせる。IBMで教育・研修分野を中心とした人事コンサルを経験。2006年よりセガサミーグループへ転じ、新規事業立ち上げや既存事業拡大のためのベンチャー投資、 M&Aを経験する。

2011年グループ会社の代表取締役社長に就任。同時に、経営について学ぶため東京理科大学大学院に進学する。その後フリーのコンサルタントと して東証1部上場企業の再編に関わり、企業統合後の人の力を発揮させる視点から人事制度構築と導入に携わる。2016年にセガサミーグループに再入社し、執行役員に就任。並行して立教大学大学院ビジネスデザイン研究科の兼任講師として授業を担当。ユニファに入社後は人事総務部長としてチームのマネジメントや人事制度の構築をしている。趣味は料理・お菓子作り・花火打ち上げ。

東京理科大学大学院経営学研究科 技術経営専攻(MOT)
入学年月日:2011年(36歳)
卒業年月日(年齢):2013年(38歳)

子会社の社長になったタイミングで大学院へ

——— これまでの経歴を教えてください。

自分が一番好きだと思っていた物理を大学で勉強しようしてみようと思って理科大に入学したんですが、実際やってみたら面白くなくて2年で中退。自分が好きなことというより自分ができること、一生続けられそうだと思うことをやろうと思い、それがIT だったので工学院大学に入りました。




——— そのITのスキルを活かしてIBMへ行かれたと?

IBMで働きたいというより、人事コンサルになりたかったんです。実は、当時内定をもらったのはPwCコンサルティングで、入社時にはIBMに買収されて IBMビジネスコンサルティングサービスという会社になっていました。さらに現在はIBMに吸収統合されて日本IBMになっています。

学生時代にセガサミーグループでインターンとして働いていたとき、遊技機業界で働いている人はみんな面白いし頭が良い人たちなのに、評価されにくいのがもったいなくて。素晴らしい人材をもっと輝かせる仕事がしたいと思っていました。




———IBMでは、どんな仕事をされていたんですか?

当時のIBMにはサービスラインが複数あって、一番の花形は戦略コンサル。それ以外には会計システム系、流通系などのERP系がありました。自分は、入社時からずっと人事コンサルティングのサービスラインに入りたいと言っていたので、そこに配属されて、トレーニングや人材開発のサービスに関わりました。IBMなので、クライアントはどこも従業員数が数万人というグローバル企業。そういう企業のシステム改革に携われたのは良い経験だったと思います。




———その後、家電量販店向けの教育プラットフォームを運営するベンチャーを設立していますね。きっかけは?

一緒にプロジェクトをやっていた先輩に誘われました。ちょうど今後の自分のキャリアをどうしようかと考えていた頃で。ずっとトレーニングを担当していて、一通りのことはもうできる。でも、転職しなくても、このままIBMにいれば仕事はいくらでもあるし、これからどうしようかと悩んでいたんです。

そんな時に先輩に会社を作るから一緒にやってみないかと言われて、その経験は IBM にいたらできない、これはチャンスだな、乗っかってみるかと。結果的にこの会社はビジネスとしては成立しなそうだったので、学生時代にお世話になったセガサミーグループに転職しました。




———そこから子会社の代表取締役社長に就任されて、同時に理科大に進学されたわけですね。ここで体系的に学びたいと思ったきっかけが何かあったのでしょうか?

経歴的には人事コンサルやって、新規事業やって、ベンチャー投資やって、人事と IT 、事業管理、ファイナンスを経験してきたので会社経営の基礎的なことは実践で身についていたと思います。

ただ、自分は組織の中で出世をしてきた人間ではありません。チームリーダーをやって、マネージャーをやって、部長やって、 CXO をやって・・・というキャリアじゃないんです。 要は、部下を持ったことがない。なのに、まあ 30 人もいない会社ではあるんですが、いきなりトップとして入ることになって、何かちょっと物足りないな、マネジメント部分が足りないなと

友人にそんな思いを相談をしたところ、「だったら、理科大MOTに自分も行っているからどう? 」と。体験授業に参加したら刺激的だったので進学を決めました。他大学院もWeb等で調べたりはしましたが、受験申込はしませんでした。

仕事では出会えない人々との出会いが大きな財産

———受験準備はどのようなことをしましたか?

特段なにもしませんでした。今はどうかわかりませんが、当時の理科大MOT入試は研究計画などは不要でした。志望動機などについて事前に作文(レポート)を提出し、面接時はプレゼンがありました。




———パートナーや家族、会社との関係性は問題ありませんでしたか?

当時はまだ結婚していなかったので、時間は自由がききました。会社も理解があり、通学に支障はありませんでしたね。



———進学前後でのギャップは?

ギャップはありませんでした。仕事との両立が大変なことは想定範囲でしたし、あっという間の2年間でした。




———在学中の過ごし方(1日・一週間のスケジュール)は?

1年次は平日2日(夜間:18:30~21:40)と土曜日1日(9:00-17:00ごろ)授業、2年次前期は平日1日と土曜日1日、2年次後期は土曜日のみでした。日曜日にテキスト、レポートを1日使って勉強しつつ、平日夜もレポート等を書いてました。




———大学で一番印象に残っていることは?

知識のインプットができたのはもちろんですが、教授や同期とのディスカッションを通じて新しい考え方や視点を得られたのが素晴らしい経験でした。自分の仕事や業務では関わりのないさまざまな企業、職種の方が通っていて、共通の課題(レポート)でも、人によって捉え方や考え方が違うのがとても刺激的でしたね。ちょっと偉そうなんですけど、自分の経営に対する考え方が出来上がった、 1 つ備わったかなと思います。

大学院はいつでも戻ってこれる”学びの場の実家”

———どんな人に大学院を勧めますか?

貪欲に学び、実務で実践し続ける人。単純に勉強したい、知りたい、学びたいというだけではだめだと思うんです。それなら、自分で勉強すればいい。そうじゃなくて、日々仕事があって忙しい中、レポートに課題図書、ケーススタディ、フィールドワーク・・・ものすごい時間とお金を投入するんですから、通うことに満足しちゃいけない。そこで得たものを自分の仕事にすぐ活かす。うまくいくかどうかは別にして、とにかくやってみる。その結果を次の授業に活かすという気概がある人じゃないと、ただ行っているだけになってもったいないと思います。




———「この人は伸びるな」という人の特徴、傾向は?

即実践行動に移せる人、ですね。知識を振りかざすのではなくて、行動できる人。そのマーケティングの授業でマーケティングのやり方を覚えたら、自分の仕事でまずやってみる。やってみると、学校で教わってることと実務に多少なりともギャップはあるので、そのギャップを持って次の授業でディスカッションする。こういうことを繰り返せる人が成長できると思います。

自分の個人的な意見ですが、社会人大学院に行くなら30代後半ぐらいがいいのではないでしょうか。社会人10年目くらいなら、仕事の中で実践できる範囲が広がるので、学んで試すということがやりやすいと思います。

これも私見ですが、30歳、40歳、50歳のそれぞれのタイミングで外で学ぶことをおすすめしています。自分も卒業してから10 年経ったので、また新たな気持ちで何か学んでみたいなと思っています。大学院じゃなくてもいいので専門的な勉強と実践の両方できるような場が良いですね。




———長谷川さんがキャリアにおいて大事にしている価値観を教えてください。

「その時その時で自分にとってベストの選択をしていく」ということ。大学を辞めたときに、どう将来を選択したらいいのか悩んでキャリア理論を独学したんです。当時有名だったのはシャインのキャリアアンカーで、30 年後の自分の目標や夢を定めて、そこから 10 年後、 5 年後、1年後というようにブレークダウンして考えていこうというもの。でも、自分はそれが全然しっくり来なかった。

自分は、とりあえず自分の好きなものを選んでもやってみたくて、遠い将来のことは意味がないと考えるタイプ。そこでたまたま知ったのがクランボルツの計画的偶発性で、これだ!と。その時その時に自分にとってベストの選択をしていこうと。もちろん失敗するかもしれないですけど、そこは本当に楽観的に「まあ何とかなるっしょ」みたいな感じで選択してきました。




———いまRBSで教える立場にも立たれていますね。

はい。講師をやることで知識の見返しができますし、いまRBSに通っている生徒さんの課題は10年前とは違うので勉強になります。立教のMBA コースは元立教の人がすごく多い印象ですね。




———振り返って大学院はどんな存在でしたか?

「学びの場の実家」みたいなものですかね。そこから飛び出してやってかないといけないけれど、迷ったら戻るべき場所、戻れる場。飛び出す、もどるの繰り返しの場なのかなと。

小中高大学とはまた違うんですよね。社会に出ると決断や判断を迫られることが多く、迷いや悩みが生まれるので、それを解決するための学びの場として社会人大学院は良い場所だと思います。

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